週刊 あはきワールド 2007年12月20日号 No.15

鍼灸臨床をめぐる熱心な討論
学術や人間性の向上に役立つ講演や実技が展開

第45回日本臨床鍼灸懇話会全国集会開催される

日本臨床鍼灸懇話会(木下滋会長)の第45回全国集会が12月9、10の両日、東京都文京区の東京大学附属図書館3階の大会議室で開催された。臨床討論や教育講演、特別講演、公開実技などが行われた。

臨床討論は、演者が15分間口演したあと、口演ごとに15分の討論時間が設けてある同会自慢のプログラム。同会会員の吉崎和樹、宮川隆弘、鈴木信、宮村健二、木下伸一の各氏がそれぞれ「ストレスが関与した肩こり」「手、足部の疼痛」「月経不順を伴ったde Quervain症」「股関節外旋筋痛」「チョコレート嚢胞が原因の下腹部痛」の症例報告を行い、そのあとフロアを交えての熱心な討論が展開された。

教育講演の演者は名古屋大学医学部附属病院総合診療部の佐藤寿一氏と森ノ宮医療学園専門学校の尾﨑朋文氏。佐藤氏は「プライマリ・ケアにおける頭痛を主訴とする患者さんの診療」と題し、鍼灸師にとっても重要なプライマリ・ケアの考え方について示唆した。尾﨑氏は「鍼灸での医療事故・過誤症例に学ぶ―患者や家族との信頼関係の重要性を中心に」と題し、鍼灸師なら誰もが鍼灸臨床の現場で出くわす可能性がある医療事故・過誤例を紹介しながら、患者やその家族とのコミュニケーションの重要性について語った。

特別講演では、全日本鍼灸学会東京地方会会長の山田勝弘氏が自らの恩師の故代田文彦氏が教示した鍼灸師像について触れながら臨床鍼灸師のありかたを考察した。その中で、代田氏が21世紀の鍼灸師のあるべき姿として、「侍医の医学」を提唱していたことに触れ、次の言葉を紹介した。

「侍医とは、個を重視した全人的医療の典型であり、素晴らしいもの。鍼灸師をこの侍医の医療態度をそのままにして、これに重い病気を扱う能力を備えつつ現在のレベルまで引き上げるように改造すれば、良質な理想的な医療が出現し21世紀に課する役割は大きい。個の具体まで迫るには、太極的な思想の上に立ち、鍼灸の東洋医学全般の素養を高めることが必要である」

このほか、公開実技では、日本臨床鍼灸懇話会理事の佐藤正人氏が膝関節の変形を7タイプに分け、レントゲンを撮れない鍼灸師でも視診と触診によって変形の程度を診られることを示した。

日本臨床鍼灸懇話会のHP: http://www.konwakai.com/

写真:上から佐藤寿一(教育講演)、尾﨑朋文(教育講演)、山田勝弘(特別講演)、佐藤正人(公開実技)の各氏


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