変形徒手矯正術は関節拘縮が対象
関節拘縮は、関節組織の変性が起こって関節可動域が制限されている状態です。無理に動かそうとすると当然痛みが生じますが、AZP(Anatomic Zero Position:解剖学的肢位)の理論に従って変形徒手矯正術や関節リラクゼーションテクニックを行えば、「必要最小限の刺激で最大限の効果」が期待できます!
初めてのAZP体験
ここでAZPを体験してみましょう。まず立ちます。足と足の間は14cmに開き、中指が正面を向くように足先をちょっとだけ内側にして、掌を下に向けて手を前に出しましょう。隣の人は、相手の肩関節を支点に振り子のような軌道を描いて腕を上から押さえて力比べをします。
次に足先を45°外側に開いて同じように力比べをしてください。もう一度、足先を正面に向けてさっきと比べてみてください。AZPのときは力をかけられても踏ん張れるのに、45°足先を開くと股関節も開いてしまうので、立っている姿勢を保持するのに力を使ってしまい、相手の力を跳ね返すことに十分力を発揮することができません。
目標はAZP!
寝たきりで拘縮のある患者さんは大きくAZPから外れた体勢で寝ています。拘縮の強い患者さんを目の前にすると、どこから手をつけていいのかわからなくなってしまいそうですが、私達は患者さんの身体を少しでもAZPに近づけることを目標にします。そうすることで、血行促進、関節拘縮の改善、痛みの緩和などの効果が得られるのです。
いよいよ実技開始
ではどうやって動かしていくのか、実際に身体を使って動かしていきます。まずベッド上でAZPを作るには、思っているよりも股関節を内旋し、固定している手が緩まないようアキレス腱を手前に引き伸ばすようにしながら、足底を外側に向けなければなりません。足底側から見ると足の第4・第5MP関節間のすぐ下、ちょうど肉球ができるところに母指を当て、患者さんの鼻に向けて足関節を屈曲させます。きちんとAZPができていれば、大腿四頭筋が盛り上がるので、それを目安にしましょう。
施術者の身体の位置にも注意
また、患者さんの膝蓋骨が天井を向いた状態で足関節(解谿のツボ)、膝蓋骨、股関節、乳頭、鼻を結んだライン上に施術者の身体がくるようにします。受講生の中には、力が入ってガチガチの方がいらっしゃいましたが、関節リラクゼーションテクニックとは、その名の通り、施術者もリラックスして行わなければなりません。力で押し込むのではなく、固定と方向に気をつけるようにしましょう。
リズムをマスター
AZPができれば、足関節のリラクゼーションテクニックから。固定した手を緩めずに足関節の背屈・底屈を繰り返しますが、自分で足関節を背屈する軌道を考えると、前後運動というよりも、解谿のツボを中心に弧を描くように動いています。背屈すれば自然に底屈の方向に返ってくるので、その返ってくる動きを受け止めてから次の背屈、と続くようにすると生理的なリズム(心臓の鼓動に近い)を壊さず、不快感を与えません。このリズムが掴めれば、あとは足趾、股関節、腰背部、上肢のリラクゼーションテクニック全般に応用できます。
座らせて、寝かせてみよう
トランスファーテクニックで大事なのは患者さんとの一体感。健側手前で健側が下になるように側臥位にしたら、患者さんの首の下に手を入れ、施術者の重心を低くして上になった肩甲骨(患側)を手掌で固定し、患者さんの身体と密着します。施術者の体重移動を利用して患者さんと同じような動きをすると、痛みもなく不安もなく座らせることができます。
座位から車椅等にトランスする際は、患者さんの鼻を行きたい方向にある膝のところまで持ってくるようにすると簡単にお尻が上がるので、クルッと方向転換をして座らせます。
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