| 2011年6月1日号 No.235 | ||||||||||||||||||||||||||||
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■震災時に鍼灸マッサージ師ができること その5
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| 宮城県 | ||
| 4月22日 | 5月11日 | |
| 避難所数 | 508件 | 404件 |
| 避難者数 | 70,695人 | 34,474人 |
| 岩手県 | ||
| 4月22日 | 5月11日 | |
| 避難所数 | 653件 | 353件 |
| 避難者数 | 41,728人 | 36,494人 |
| cf) 被災地別支援情報 http://shinsai.local.yahoo.co.jp/ | ||
青森、福島、茨城を忘れたわけではありません。地域による違いが如実に表れており、紹介できればと思いました。
宮城県は、避難所数こそ微減であるものの、20日間で避難者は半分になっています。一方で岩手県は、避難所は半分になっているものの、避難者はほとんど減っていません。当団体が活動しているのは、こうした状況にある東北地方の、宮城県内の一部である、ということを前提に、以下の文章を書きます。
<撤収の基準>
3月末、当団体が活動を開始した宮城県岩沼市は、高速道路のインターチェンジからも近く交通の便がよいこともあり、被災地全体の中では復興が早い方でした。活動場所であった岩沼市役所、岩沼市民会館、岩沼社会福祉協議会は5月7日をもって撤収しましたが、撤収を決めた主な基準は以下の2つでした。
1.行政機能の回復
2.依存の回避
1.行政機能の回復について
市役所はいまだ忙しい部署もありましたが、通常業務が可能になってきたタイミングでした。通常業務が可能になってきたということは、職員の方々が家に帰れる、休みがとれるということで、これは、地元の治療院にも行く時間ができるということです。
岩沼市民会館は、6月はじめまでには避難者全員が仮設住宅に入る目途がつきました。仮設住宅に入ること=ゴールでは決してありませんが、これも、行政の機能が回復してきたことの一つの表れです。
社協職員への施術は、断続的な支援でしたが、ボランティア受け入れで多忙を極めたゴールデンウィークを越えたため、市役所と避難所からの撤収を機に、同様としました。
2.依存の回避について
これは活動開始直後に、JMAT(日本医師会災害医療チーム)の医師団から指摘を受けていました。私たちの支援があまりに長期間にわたると、私たちが去った後の反動が大きくなる、というものでした。
これは「被災者にとって、私たちの支援が当り前のものであるという意識になってしまうということ」という解釈にとどまりがちです。この解釈自体は誤っていないのですが、その背景として、「私たちの支援と同じ質と量の支援を、今後地元ができるのかどうかの見極めが必要」という意味があることが大切です。最後まで仮設住宅に入れない方のことを思うと、避難所閉鎖まで活動すべきかどうか迷いましたが、やはり「外部から来た」私たちは、現地のキャパシティを越える支援をするべきではないと考え、苦渋の判断となりました。
ちなみに、撤収の挨拶の際、市民会館の館長さんからは以下の言葉をいただきました。
「保健師や医師らとの話の中でも出ましたが、鍼灸マッサージ師が医療連携の中でこれだけしっかりやってくださることを初めて知りました」。
1カ月半の間、この現場に、あらゆる所属を越えて集まった熱意ある治療家たちが内部での申し送りと、外部との連携をきちんとしながら活動してきたことへの賛辞と思います。
なお、「行政機能の回復」という基準は、5月12日に撤収した名取消防署、名取市役所、塩竃市役所でも同様でした。
もちろん、復興計画の部署などはこれから多忙になり、がれきも残っているため消防の仕事も普段以上には続きますが、当初の36時間勤務から、休みがとれるようになった今は、地元の治療院へ行っていただこうと考えました。
なお、名取市には折り畳みベッドなどの物品を置かせていただけたため、ここから、次の展開場所である気仙沼や南三陸町にベッドを輸送できることになりました。ありがたいことです。
一方で、撤収せざるを得なかったのが、塩竃市の桂島、野々島、寒風沢島などの島嶼部です。5月12日をもって撤収しましたが、こちらは、医師の不在、保健師の巡回が2週間に1度という環境に加え、重機が簡単に入れないことや、船を乗り継いでいく島は危険もあり、ボランティアは基本的に我々のような医療職しか許可されていなかったことなどから、復興が遅れていました。そのため、健康管理に寄与する私たちのいる意味はより大きく、できるならば継続が望まれるところでした。
ところが、ゴールデンウィーク明けで継続した応募が途切れたため、避難所までの道のりも複雑で、前任者がいなければたどり着くことも難しい環境であることから、派遣を断念しました。
今後、経験者が再訪できる時に限り、臨時に募集をかける可能性もありますが、仮設住宅の建設が当初の予定より早まることが決まったため、ひとまず、安堵しています。
<撤収方法>
全国から集まった治療家たちの施術により「鍼灸は、マッサージは、こんなにも効くものなのか」「なぜもっと早く知らなかったのだろう」と言う声を、多くの職員や被災者の方々からいただきました。当団体の撤収後も、これらの方々に、ぜひ地元の治療院へ通っていただきたく、そのためにはどうしたら良いかを考え、以下のようにしました。インターネットを通して調べたり、師会からいただいた情報から
1.市内の治療院をリストアップした表を作成する
2.作成した表を撤収する活動場所に掲示する
そのために、リストアップした治療院の一軒ずつへ、掲載の許可を求める文書を配布し、電話にて確認をとらせていただいております。
この作業により、塩竃市では、ありがたいことに、届いた案内をご覧になった地元の先生が市役所での活動に参加してくださいました。治療院を津波で失っているこの先生へは、撤収時、当団体で用いていた折り畳みベッドを寄贈させていただきました。
名取市の治療院の先生からも「貴プロジェクトの活動も市役所職員の方からお聞きしており、非常に助かるとおっしゃっていました」とありがたい連絡をいただいております。
地元の治療院の経営を圧迫しないよう、細心の注意を払って活動して参りましたが、3市での活動を通して治療した、のべ2500名を越える方の多くが「鍼灸マッサージ未体験者」だったことから被災者支援の活動が、結果的に、鍼灸マッサージの良さを多くの方に理解していただくことにつながっていたことは、望外の成果であったと思います。
本来、地元の治療院の患者さんであった被災者の方を、外部のボランティアが治療してしまうことの弊害は確かにあるのですが、その一方で、このように、外部ボランティアの治療を通して、鍼灸マッサージの良さを初めて知る方が増えるという側面もあるのだと気付かされました。
この弊害と利点の境目が、撤収のタイミングとなるとも言えますが、この点でも、「地元行政の回復」が、地元の様々な商業活動と連動している点で、一つの大事な目安になると考えられます。
以上、当団体の撤収の基準と方法についてご紹介させていただきましたが、続いて展開について、簡単にご紹介します。
<医師団との協働@気仙沼>
ゴールデンウィーク期間中、気仙沼で活動する日本プライマリケア連合学会(以下、PCAT)の医療チームへ当団体を通して、12名の鍼灸マッサージ師が参加してくださいました。PCATは、医師、保健師、看護師のほか、歯科医師、助産師、理学療法士、作業療法士など、あらゆる医療分野が連携してチームを作る団体です。この環の中に、鍼灸マッサージ師も入れていただきました。参加した12名の働きにより、以下のような評価を受けています。
『気仙沼中学救護所の医師より、継続的に鍼灸師の方を派遣できないか、という依頼がありました。避難生活が長引いている避難民の方々には、医師よりもゆっくり話もできる鍼灸やマッサージが必要なのではないか、と。
「窮屈なところにいるため肩こり、緊張性頭痛のかたがたくさんいらっしゃり、鍼灸は連日大人気でした。鍼灸があることにより、リラックスできる。また個室であり、自分の思いのたけを鍼灸師に話すことができ、これにより精神的な安定がはかれるといった長所があると考えました。」とのことです。』
私たちの、一医療業種としての特徴の一つを理解いただけたと思います。また、連携により、私たちの働きが一層効果的に被災者へ届いています。活動場所は今後、気仙沼から石巻へ移動する可能性もありますが、協働は継続されており、派遣は続いております。
基本的に、東京にて、医師らと同様の事前研修を受けることが前提となります。先日9名の鍼灸マッサージ師と共に出席しましたが、大変参考になる内容。被災地への貢献のみならず、ご自身にとっても貴重な体験となりますので、コメディカル(医療連携)の意識をお持ちの方ならば特に参加をお勧めします。
お申し込みは、災害鍼灸マッサージプロジェクトHP内にあります応募フォームからどうぞ。
http://sinkyu-sos.jimdo.com/
(まず、注意点や連絡、活動目的などをご参照の上、お申し込みください)
<南三陸町>
こちらは、5月28日からの活動が決まっておりますが、先遣隊という形をとっております。今回は私自身も参加します。石巻と並んで、宮城県内では破壊の激しい地域であるだけに、これまでの活動と全く同様にはいかないことが予想されています。実際、避難所一つとっても、それぞれみな違いがあります。これまで通り、「被災地にとって何が一番よいのか」を考えつつ、現地に合わせた柔軟な支援形態をとることを大切にして行きたいと考えております。
HP、ブログ、ツイッター上でご紹介していく予定です。
<遠い視点を>
最後になりましたが、当団体が撤収した市にある治療院の先生からいただいたメールの末尾に書かれていた内容をご紹介します。『仮設住宅ができ、被災者の方々を目にする機会も減り、マスコミも去ってしまうと孤立する方々が増えると思います。阪神大震災でも震災後、数年から十数年で、仮設を追われ、補助や支援も次々とカットされることであらたな不幸な出来事が起こりました。東北でも同じことが起こるでしょう。これからが地元にいる我々の本当の出番だと思ってがんばりたいと思います。』
長い闘いに対する覚悟だと感じました。これまで大切にしてきた「被災地全体の中での自分の立ち位置」という意識に加え、「長期にわたる復興の中の自分の支援の意味」を意識させられました。
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