| 2011年7月27日号 No.242 | |||||||||||||||||||||||||||
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灸療閑話 第57話 日本鍼灸②灸法臨床研究会 福島哲也 この夏も、伊吹山のふもとにある中山道柏原宿(滋賀県米原市)での、「やいとまつり」に参加してきた。もう10年近く活動しているので、鍼灸というもの(小児はりを含む)も我々の存在も特別に怪しくない(?)と地元の人たちに認知されてきたようで、「毎年、治療を楽しみにしているよ」という常連のお年寄りや「来年も来てくれるの?」などという若い人の声も聞こえていた。なお、暑い夏に熱い心で参加してくれる灸徒(キュート)な参加メンバーは、近畿・関西組が多い(ヒヨコ育成会、大師流小児はり手合わせ会、大学・専門学校の学生など)が、関東組(東京、神奈川、千葉、茨城など)も毎年数人はいる。まあ、私もその一人なのだが……。
![]() 前泊した参加メンバー出陣前大集合 ![]() 準備中のテント班の様子 ![]() ビニールプールに水を張る参加メンバー 最近は、やや大所帯になり、私は今回も亀屋佐京商店(もぐさ屋さん)の店頭治療班の監督兼タイムキーパー役(各自の治療には口を出さず、ただそこにいただけ)だったので、午前中は若干暇を持て余していたのだが、正午過ぎに柏原宿やいとまつりのマドンナとの笑顔の再会(もちろん、治療も)というサプライズがあったのが嬉しかった。
続・超意訳(迷訳?)基本テクニック前回の続きで、「負曳之鍼(まけびきのはり)」と「相曳之鍼(あいひきのはり)」である。③負曳之鍼(Makebiki‐no‐hari) 「是(これ)モ處(ところ)定マラズ、病証ニ依(よっ)テ邪気ノ隠(かくれ)居(いる)日(とき)、針シテ其(その)邪気ヲヲビキ出シテ療治スル事アリ。加様(かよう)ノ針ヲ用イル病人ハ何トモ病証知レ難シ。功ヲ積ミタル狐ノ付タル病人ハ狐付トモ氣違ヒトモ知レ難キ物也。其(その)時ニモ用ル。兎角(とかく)邪気ヲ曳出シテ様子ヲ觀(み)、療治セント欲(おもう)日(とき)、用ル針ノ方便(てだて)ナリ。諸病ノ知レ難キ時ノ問(とい)針ト心得(こころえ)可(べ)シ」 これは、「邪気ヲヲビキ出シ」「様子ヲ觀」るための「針ノ方便」であり、「問針ト心得可シ」とあるから、「ドアをノック(すること)」をイメージしてみるとよい。例えば、「トン、トン。邪気さん、書留(あるいは宅急便)で~す!」とか、少し軽い感じのノリ(叩きかた)のほうがいいだろう。このとき、「ドン、ドン、ドン、ドン!」と、あんまりしつこくとやり過ぎると、借金の取り立てみたいに居留守を使われちゃうかもしれないし、長年にわたる引き籠りの邪気さんだったらむしろ逆効果になりかねない。
④相引之鍼(Aihiki‐no‐hari) 「是(これ)モ處(ところ)定マラズ、和(やわらか)ナル針。虚労ノ証、老人、養生針ニ用ル。邪気ノ曳(ひく)ト針ヲ引(ひく)ト相曳(ひき)ニ引ク針也。補鍼(ほしん)トモ言(いう)可(べ)シ」 これは、迷訳的には「ピンポンダッシュ」のイメージがピッタリじゃないかと思う。「邪気ノ曳ト針ヲ引ト相曳ニ引ク」とあるので、邪気を曳き出したら(玄関のブザーやチャイムを押す)、すぐに鍼を皮膚面から離す(ダッシュで逃げる)ように、また、「和ナル針」「補鍼」とあるので、軽微な刺激(柔和な叩打や接触のみ)でのアプローチをすればいい。
このほかにも、「散(さんずる)針」や「車輪(しゃりん)の法」などたくさんの手法があるのだが、私の下手な迷訳などに惑わされずに、各自、臨床の中で自分なり解釈を見つけるのが一番だと思う。 どうなるのかな?夢分流打鍼の実技講習の途中で、故・間中喜雄先生考案の木製の鍼と木槌(間中ハンマー)を持っている受講生を見つけた。間中先生の実験によると、下表のように、各経絡にはそれぞれに対応するサイクル(周波数)があり、ある経絡上に症状(痛みなど)があるとき、その経絡上の四肢のツボ(五行穴や原郄絡穴など)をその経絡特有のテンポで(メトロノームの音に合わせて)叩打すると、症状の消失や改善がみられるという。
そこで、打鍼で追試および新たな実験をしてみることにした。例を挙げると、四肢のツボでは、わざと全く違ったサイクルでやってみるとどうなるのかとか、腹部では、胃経の募穴である中脘に任脈のサイクルと胃経のサイクル、大腸経の募穴である天枢に任脈のサイクルと胃経のサイクルで叩打してみたらどうなるか、また、背部兪穴ではどうかなどである。さらに、「金属の打鍼」と「間中ハンマー」とでは、響きかたや効果に違いがあるのかなどについても、いろいろと真面目に遊んでもらった。 結果については、ここでは公表しないので、興味を持ったかたは各自で追試してみるといいだろう。 ●●拒否!?第55話の内容(夏風邪の自己治療およびボランティア募集)について、「キュー●ィ鍼医さん」より率直なご意見をいただいたので、その一部を紹介させていただく。―今回、福島先生のやまいだれの推移に関しては、読んでいて正直あまり嬉しくなかったということです。鍼灸師たるもの、先般の学会でもあった「未病治」に努めていただきたい。鍼灸師は健康のお手本になるべきで、是非、ちゃんとお金を払って鍼灸院に定期的に通って、客観的に診てもらって「鍼灸してもらっているから不死身だ」ということをPRしていただくことを切望いたします。 弁解するわけではないが、私は、日々の自灸自足(手足と腹部は自己施灸が可能)以外にも、時間が取れたときには(まあ、定期的ではないが……)「未病治」目的で、ちゃんとお金を払って鍼灸院に通っている。「不死身」とはいかなくとも「スーパーマン」を目指して、今後も鍼灸のPR(啓蒙普及)に努めていこうと思っているのだが、先日、こんなことがあった。
うちの学校(教員養成科)の卒業生であるK先生の治療院に久しぶりに顔を出してみたところ、会話の途中でK先生から「風邪の症状(のどの痛み、痰がでる)があるので治療をしてほしい」との依頼があった。ちょうど時間に余裕があったのと、たまたま愛用のマイ鍼灸道具を携帯していたので、私が治療(もちろん無料で!)をしてあげることにした。ちなみに、治療内容としては、手の井穴(少商)の刺絡、下腹部(関元)への鍉鍼、上腹部への打鍼、背部(霊台付近)と胸部(膻中付近)の貫抜き灸、肩背部への散鍼(鑱鍼を使用)などであった。 そんなK先生に、「こんど真面目に予約したいんだけど、いいかな?」と尋ねたら、「駄目です、絶対に俺はやりません!」と乗車拒否ならぬ鍼療拒否(診療拒否の変換間違いではない)にあってしまった。 まあ、近年はよくあることなので、特別気にはしてないけどね……。
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