これまでのボランティア参加者による施術後、被災地の患者さんより挙がった各種の訴えと、その対策をお知らせします。必ず熟読し、後任による再発が起こることのないよう、また私たちの施術を被災地の方々が安全に利用していただけるよう、どうぞご留意ください。
<事故を未然に防ぐために>
●施術時は時間的、体力的余裕を持つこと
●複数の訴えがあった場合、一度に全て治療しようとせず、カルテにより後任へ
引き継ぐ
●患者さんの氏名、施術部位、申し送り事項について、カルテとの照合を必ず行
う
●万一事故が発生した場合は、直ちに本部へ連絡して指示を仰ぐとともに、発生
状況と患者の訴えについて詳細に記録を残すこと
<実際に報告されたケース>
①抜鍼忘れ
②内出血
③貧血
④円皮鍼の説明不足
⑤マッサージによる揉み返し
上記のケースに関して、経緯、原因、予防と対策を紹介します。
①抜鍼忘れ
【経緯】
腰痛および肩の痛みを主訴とする患者さんへの施術後、肩への鍼を抜き忘れて帰してしまった。翌日、施術した鍼灸師へ第三者から連絡が入った。重大事故にはつながらなかったものの、抗議があった。
【原因】
1.30分という決められた時間の中、腰と肩の2カ所への施術を一度に試みたた
めに施術時間が短くなり、鍼の本数の確認に十分な時間を割くことができな
かった。
2.手繰りあげた衣服を留めたクリップがゆるみ、袖が鍼を覆っていたため、置
鍼した鍼を見落とした。
【予防と対策】
1.治療前後で使用した鍼の本数を数え確認する
✓ ディスポ鍼管の数と、抜いた鍼の数とが合致していることを確認する
✓ できるだけ鍼柄に色が付いているディスポーザブル鍼を用いる
✓ 施術後すぐに施術箇所をカルテへ記載する
2.時間的制約を感じた場合、一度に全て治療せず、カルテにより後任へ引き継
ぐ
3.発生時は、内臓損傷の有無を確認し、医師の診察を仰ぐ
②内出血
【経緯】
鍼灸治療を受けた翌日、頸部の内出血の訴えを施術者とは別の後任の鍼灸師が受けた。
【原因】
稀に起こることであるが、事前説明が不足し、患者へ不安を与えてしまった。
【予防と対策】
・ 稀に内出血の起こることと、発生しても自然消退し問題のないことを事前説明
する
・ 顔面や頚部など、内出血を起こしやすい部位への施術は特に注意をはらう
・ 内出血を起こしやすい特定の疾患や服薬がないか予め患者へ確認する
③貧血
【経緯】
マッサージを希望していた患者へ、確認せずに鍼灸を施術。施術後に貧血を訴えたため、別の鍼灸師が返し鍼(足三里穴:前脛骨筋筋腹)で対応した。
【原因】
1.患者の希望する施術スタイルの確認不足
2.施術の際の説明不足
【予防と対策】
1.患者の希望する施術内容の確認を行う
2.施術時の不安を取り除くよう努める
④円皮鍼の説明不足
【経緯】
1.円皮鍼を貼って帰したところ、後日、剥がれた鍼を心配する訴えが後任にあ
った。
2.円皮鍼を貼って帰したところ、後日、症状の悪化の訴えが後任にあった。
【原因】
1.自然にはがれても他の者に刺さる恐れのないことの説明が不足した。
2.後のフォローのできない治療方法の選択であった
【予防と対策】
1.円皮鍼は用いない
2.用いる際は、自然に剥がれた時の対応、はがす日数の目安の指定などの
説明を行う
⑤マッサージによる揉み返し
【経緯】
マッサージを受けた翌日、全身が痛くなったと後任に訴えがあった。
【原因】
患者の感受性を越えた強度のマッサージを行った。
【予防と対策】
1.治療中に刺激の強弱を患者へ確認する
2.稀に揉み返しのあることを事前事後に予め説明しておく
<その他留意していただきたいこと>
現地で問題が発生した場合・または懸念事項がある場合は速やかに現地リーダーと後方支援スタッフにご報告ください。また、患者様のカルテ・現地連絡ノートにも詳細を記すなど、後任の方がわかりやすいように記録を残すよう努めてください。
また、ここに紹介する事例以外にも、鍼灸治療において一般的に予想される事故として以下があります。くれぐれも注意していただくよう、お願い申し上げます。
・ 臓器損傷(例:気胸など)
・ 感染症(例:B型肝炎など)
・ お灸による火傷
なお、前任者のミスに対して、後任が謝罪を求められる場合もあります。
自らの仲間による事故と受け止めて頂き、柔軟な対応をお願い申し上げます。
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