週刊あはきワールド

2012年1月18日号 No.265

在宅ケア奮闘記 その63


患者宅のネコたちに癒されるネコ好きの私

訪問リハビリ研究センター代表 西村久代

 ネコを飼っている患者宅が意外と多い。寝たきりの患者宅でネコが飛び乗ったりしたらどうしちゃうのかと時々気になるけれど、ネコは賢くてそんな心配は要らないようである。

道子さん宅のネコ「マミイ」はマツコ・デラックス


風格のある「マミイ」はまるでマツコ・デラックス
 道子さん宅で飼っているアメリカンショートヘアと思っていたけど実は、スコティッシュの耳が立っているバージョンの「マミイ」は、体重が11㎏もある。

 このネコも患者のベッドには絶対に上らないので安心した(あの体重じゃ飛び上がれない)が、施術している足下でドデッと寝ていることが多い。道子さんに悟られないように足でそーっと邪魔にならない所へ押し出そうとすると、私をギロッと睨み、スローで噛もうとする。噛まれるのは嫌なので足を離すと、手でじゃれてきて、身体の位置は一向に変えてくれない。

 患者に施術するときの自分の重心はものすごく重要である。自分の重心の置き方でキッチリとしたAZPでの運動が完成するのに、ペットのネコごときに自分の仕事の邪魔をされたくはない。が、ネコは強い。気に入らないと引っ掻くし、噛みつくし、怒る。

 スタッフにマミイの話をすると興味津々。一緒に道子さん宅に同行取材をすることになった。私が施術している間に体重測定。胴囲の計測。何に興味を示すかの実験と敏捷さはあるのかという実験をしている。

 胴囲は60㎝。体重は11㎏。猫じゃらしに反応あり。しかし、動かない。まるでネコの中のマツコ・デラックスである。とにかく風格がある。

ネコは患者を看ている!

 他の患者宅でも共通して言えるのは、患者に対して危害は加えないということである。もっと言うと患者さんを看ているとでも言ったらいいか。気をつけているとでも言ったらいいか。患者さんに何らかの兆候があればわざわざ部屋の中を覗きに行くようである。風邪を引いて熱を出したようなときは、わざわざ部屋にやってきてしゃべりかけたりするみたいである。

 ネコにとっては同格の家族なのだろうか。「少し気にしているよ」という表現を取るようである。食事をくれる人と看てあげる人とちゃんと区別して無闇に遊んでいるわけではないようである。

 私に対しても何らかの格付けをしている。初めは興味津々で堂々と見にくるタイプと引っ込み思案で少し怖がって隠れてしまうタイプと全く素知らぬ風で無視するタイプとあるが、施術の回数が増えるにつれ私の存在を肯定し、関わらなくなってしまう。

夫が買ってきてくれた血統書付きのネコ「アビシニアン」がワンと吠えた?!

 私はネコが大好きである。私服はネコ柄。持ち物はネコ関連。たぶん性格もネコに近いネコ年の女なのである。

 子どもの頃からずーっとネコを飼っていた。大好きなネコが死にとても落ち込んでいたとき「アビシニアン」が欲しくて15万円を握りしめペットショップに行った。もう6年も前のことである。それまでのネコは拾ってきたネコたちだったので、初めて血統書付きのネコを飼おうと一大決心で買いに行ったのだが、15万円ではアビシニアンは売っていなかった。

 それ以上はお金を出す気になれず、諦めて帰った。主人はそんな私を見てとてもかわいそうに感じてくれて、「俺がお金を追加して買ってきてやる。良いじゃないか。それで悲しみが薄れるのなら」と言ってすぐに買いに行ってくれた。夫に対してそんなに愛情は残っていなかったけど、「お前が落ち込んでいるのは似合わないよ」と言ってくれたのに心が不覚にも時めいてしまった。

 1時間が過ぎたころ夫が帰ってきた。ペットショップの綺麗な小屋風の箱の窓からゴールドの毛並みが見え、中でゴソゴソ動いているのが見えた。あと3万円追加してくれて18万の領収書と証明書と予防注射とか取扱説明書みたいな物があった。

 さすが血統書付きのアビシニアンは違うなぁ。ドキドキしながら蓋を開けようとしたとき、中から「ワン」と言う不思議な声がした。

 「お父さん。今、ワンって言った」
 「そうかなぁ……」
 「……」

 中から出てきたのはアビシニアンではなくてミニチュアダックスフンドという犬だった。

 犬は嫌い。夫も嫌い。ネコの住まいだった我が家は犬に占領されてしまった。家に帰りたくない症候群はその時から顕著になった。その後ミニチュアダックスフンドが3匹になっている。私が家に帰ると吠える。

 できるだけ患者たちのネコとお友達になって私のネコ好きの心を癒してもらおうと思っている。仕事に趣味が合えば言うことなしだ。

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