瘀血を治す!
万病のもと、瘀血(微小循環障害)を改善する刺絡療法の実際

著者:西田皓一
定価:3,850円(本体3,500円+税)
判型:B5
頁数:179頁
発行:2008年3月
ISBN978-4-903699-08-0
本の紹介
本書のサブタイトルに使われている微小循環障害とは、東洋医学の概念で言えば、瘀血である。瘀血は種々な病気の原因になり、またそれらの治癒の障害になっていることが多い。身近なところでいえば生活習慣病の1つである心臓病や脳血管障害などはその代表であるし、アトピー性皮膚炎など難治性の疾患などにも瘀血がかかわっているケースが数多くある。いわば、瘀血は「万病のもと」と言っても過言ではない。
瘀血(微小循環障害)は微小循環障害という西洋医学の概念やその診断・治療方法だけでは解決できなくても、瘀血という東洋医学の概念で、その病態を把握し、適切な治療すなわち刺絡を施せば、長年苦しんでいた症状が簡単に改善するケースはよくある。
本書は、40年以上にわたり瘀血と疾病の関係をライフワークとして研究、臨床に応用してきた医師、西田皓一氏が「瘀血に苦しむ人々を一人でも多くその苦痛から解放させてあげたい」という思いからまとめ上げた一冊である。
PARTⅠ「瘀血を知る」、PARTⅡ「瘀血を治す」、PARTⅢ「瘀血の治療例を学ぶ」の3つのパートから構成され、PARTⅠでは人類が過去に治療に応用してきた歴史、現代医学と東洋医学の両面から見た瘀血の病理、瘀血の病因、現代科学的な微小循環から見た瘀血の研究、瘀血の診断法、瘀血の診断基準について、PARTⅡでは瘀血治療の中でも特に効果がある刺絡の歴史、刺絡がなぜ効くのか(効果機序)、刺絡の適応疾患、具体的な刺絡の手技、刺絡する時の注意事項などについて、それぞれ解説し、PARTⅢでは刺絡による具体的な瘀血の治療例を全部で29例紹介している。
目 次
PARTⅠ 瘀血を知る
1)瘀血とは何か
2)古典には「瘀血」や「刺絡」は、どのように記述されているのか
3)絡脈について考える
4)東西両医学から見た正常な血液の流れと働きとそこに異常が生じた時
5)微小循環障害は「瘀血」である
6)瘀血はなぜ起こるのか
7)瘀血と病との関係
現代医学から見た「瘀血によって起こる疾患」
8)瘀血は体表部位のどこに現れやすいのか
9)瘀血はどんな臨床症状を引き起こすのか
10)瘀血の診断
「瘀血の存在」は身体のどこで知るのか
11)瘀血が現代医学の治療の限界に与えるヒント
難治性疾患や原因がはっきりしない疾患は瘀血が絡んでいる
12)瘀血と関係のある、微小循環学会、瘀血学会とヘモレオロジー学会の
最近の状況
PARTⅡ 瘀血を治す
13)刺絡の歴史
14)刺絡はどんな効果があるか
15)刺絡に用いる道具とその使い方
16)刺絡はどこに取穴するのか
PARTⅢ 瘀血の治療例を学ぶ
17)関節リウマチの治療
あまりの苦痛のために死を望んでいた患者が刺絡療法で劇的に痛みと浮腫が取れた例
18)全身の煩熱と発汗の治療
1回の刺絡で、“全身の火照り”が消退した例
19)アトピー性皮膚炎の治療
全身の強い痒みに約5年間悩まされ続けた患者がほぼ全快した例
20)腹部手術痕後にできた瘀塊の治療
腹部手術痕後にできた瘀塊のため、右鼡径部や腰部の疼痛に29年間苦しんでいた例
21)骨折後の疼痛治療
手関節骨折後の難治性機能障害と痛みの治療例
22)下肢の難治性湿疹の治療
慢性湿疹も、瘀血が大きく関与していることを示唆する例
23)帯状疱疹の疼痛の治療
帯状疱疹後の激痛が刺針と刺絡で劇的に治った例
24)尋常性乾癬の治療
完治は困難なものの痒みは軽減し皮膚所見が改善している例
25)更年期障害の治療
腹部手術痕の瘀血が原因する更年期障害が刺絡で改善した例
26)凍傷の治療
刺絡により痛みが消失し、赤みや浮腫が大幅に軽減していった例
27)肢端紅痛症の治療
現代医学で診断名がついても治療法がない本疾患による痛みが刺絡で即軽減した例
28)瘀血による腰痛の治療
刺針のみでは効果の少なかった瘀血による腰痛が刺絡で鎮痛した例
29)腰椎すべり症手術後の坐骨神経痛の治療
術後1年間も執拗に続く疼痛が数回の刺絡治療で治った例
30)ぎっくり腰の治療
委中に刺絡すると、即座に痛みが消失した例
31)瘀血による頭痛の治療
帝王切開後の手術痕周囲の瘀血を刺絡して症状がとれた例
32)手足煩熱の治療
原因不明の手掌と足底の火照りに刺絡した例
33)肩関節痛の治療
肺経の肩関節痛が、井穴刺絡と刺針の併用で完治した例
34)ニキビ(面皰)の治療
背部の細絡や毛嚢炎に刺絡して速効した例
35)脳梗塞の前兆と思われる症状の治療
後頭部の圧迫感、頭痛など脳卒中の前駆症状に刺絡した例
36)脛骨骨折手術後の頑固な痛みの治療
膝関節痛などによる歩行困難が刺絡により正常に歩行ができるようになった例
37)円形脱毛症の治療
局所を梅花針で刺激し軽く抜缶したら、産毛が生えてきた例
38)瘭疽の治療
瘭疽を刺絡で治療した例
39)慢性蕁麻疹の治療
長年の蕁麻疹が刺絡を契機にいつとはなしに治まっていった例
40)難治性毛嚢炎の治療
背部の掻痒感に長年悩まされた例
41)下肢の瘀斑の治療
刺絡を根気強く続けて、痒みが軽減し瘀斑は縮小しつつある例
42)上腕挙上障害の治療
障害された経脈の井穴に刺絡すると、上腕が挙がるようになった例
43)背部の慢性湿疹の治療
数回の刺絡と刺針の治療で痒みが消失し完治した例
44)ケロイドの治療
長年のケロイドによる痛みが、刺絡により一時的に寛解できた例
45)急性関節炎の治療
急性に起こった膝関節炎に刺絡すると速効した例