週刊あはきワールド 2017年5月10日号 No.521

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.37-1

うつ病に寄り添う鍼灸治療(その1)

~アプローチ法~

いやしの道協会会長 朽名宗観 


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1.『傷寒論』を通してうつ病患者のからだの状態をイメージ化する

 うつ病にも過労やストレスによるうつ病、マタニティブルー、更年期のうつ病、また老人性うつ病などさまざまなケースがあるが、鍼灸治療は向精神薬に警戒心の強い患者が症状の程度によっては治療のメインとしたり、また、重度の場合でも、精神科や心療内科に通いながら、うつ病に伴う身体症状の緩和や向精神薬の減量を目的に用いられることもある。

 当会の創始者・横田観風が提唱する治療法は正式には「万病一風的治療」と呼んでいるが、ここではわかりやすく「いやしの道の治療」としておく。この治療法では特に証を決めるわけではなく、まずは問診し、目で見て、手で触れ、感じられることから寒・熱・虚・実、および毒(病理産物)と邪気の有り様を診ていく。専用の腹診図にそれらを書き込んで「からだの天気図」のようなものを作り、その図から主訴の由来が判断できれば自ずと治療方針は定まってくる。したがって、特にうつ病の治療法というものがあるわけではなく、病名にかかわらず、先述の異常が寛解するように施術すれば、愁訴が改善されるというものである。

 とはいえ、一般的にうつ病に現れやすい病的なからだの状態にどんな傾向があるかを知っておけば、診察の際の目の付け所を会得するのに役立つだろう。そこを『傷寒論』の薬方から解説してみよう。中国伝統医学三代古典の一つである本書は外感病の漢方処方を著したものとして知られているが、それを万病に適応できるようにしたのが、日本漢方の基礎を作った吉益東洞(1702〜1773)である。「いやしの道の治療」では、それに基づく『傷寒論』の解読によって、ダイナミックに変転するからだ(生命)のさまざまな状態を学んでいく。うつ病に頻用される漢方薬は『傷寒論』以外にも多くあり、ここで説こうとすることの目的は漢方処方ができるようになることではなく、あくまで鍼灸治療に役立てるためにうつ病に関わる病的なからだの有り方のおよそのパターンをイメージ化することである。

 薬方を三陰三陽の病期と虚実によって分類すると以下のようになる(注1)。うつ病には身体症状が伴うが、薬方に付記した主な症状がそれに当たる。また、ここでの虚実の証は、日本漢方が示す体質的なものである。

 各薬方に相対するからだの状態(証)をイメージしやすいように模式図を付け加える(注2)
 

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