週刊あはきワールド 2017年5月17日号 No.522

全力で治す東西両医療 第15回

ともともクリニック全力カンファレンス中継(4)

~“かっこよく”診るには、まず脈診がしっかりできるようになる~

 (1)木村朗子(2)三井啓太(3)石川家明 


◎第14回 ともともクリニック全力カンファレンス中継(3)
      ~三井くんが研修にやってきたぞ、君はかっこいい~
      (木村朗子・三井啓太・石川家明)
◎第13回 ともともクリニック全力カンファレンス中継(2)
      ~医学部5年生三井くんが研修にやってきたぞ~
      (木村朗子・三井啓太・石川家明)
◎第12回 ともともクリニック全力カンファレンス中継(1)
      ~感冒だと思っていたら「あれ?」が隠されていた症例~
      (木村朗子・荒川和子・石川家明)
◎過去記事≫≫  もっと見る
 
(1)木村朗子:ともともクリニック院長
(2)三井啓太:自治医科大学医学部5年
(3)石川家明:TOMOTOMO(友と共に学ぶ東西両医療研修の会)代表

 いわゆる感冒のことを世間一般にカゼと呼び、漢字に風邪と書きますが、元々は東洋医学の風邪(ふうじゃ)のことを言います。風邪は万病のもとと呼ばれるのも東洋医学の考え方です。実際、感冒、関節痛、神経痛、膠原病、これら全て「痹症」と呼び、風邪が関与します。また皮膚病も風邪が関与します。感冒は風邪と衛気の戦い、痹症は風邪と正気の戦い、風邪が体内の痰飲や瘀血と結びつくと膠原病などの「痹症」になります。そのため漢方処方の一部においてこれらの疾患に同じ処方を行うことがあります。関節痛は関節がカゼを引いているか? 皮膚病は皮膚がカゼをひいているのかと思うと何だか関節や皮膚に愛着が湧きます(三井啓太;TOMOTOMOメーリスに宛てた研修報告文から)。

■まずは膝痛を、とくに触診を勉強してみた

 自治医大5年生の三井君が正規の大学授業の一環として研修に来てくれました。研修にあたり自ら3つのテーマを決めてくれました。

◎テーマ:The臨床を学ぶ
1)漢方でかっこよく「漢方でカゼを学ぶということは何を知るということか」
2)common diseaseのかっこよい取り扱いかた
3)患者の得体の知れない症状をかっこよく対応する

 実はこの3つのテーマは1つの大事な「臨床的態度」に帰結するように思えます。事前打ち合わせのメールに「ふつうの病気をかっこよく治せるようになりたい」との返信がありました。プライマリケアに言うところの日常病を治せる医療者になりたい。それもかっこよく。このことは何を意味しているか、話を聞くとすぐガッテンがいきました。生活に視点のある良医、人々の普段の健康に留意したい良医になりたいという思いが伝わってきます。名医には、2種類います。「難病を治す名医」と「あなたの名医」です。「あなたの名医」とは、プライマリケアの要点である「近接性」があるから距離的・精神的に近いだけではなく、長年「あなた」を、場合によっては子供の時からずーと「今」に至るまで健康と病気についての見守りが「継続性」を持ってできていることです。そのため「あなた」のちょっとした変化に気がつくから、いち早く病を発見、診ることのできる名医になれるのです。しかし、三井くんは日常病のカゼや膝痛に対して、今までの外来実習を経験してきて、このままでの研修方向で「あなたの名医」になれるか心配になってきたようでした。そこで、学外の研修先として選んでくれた本院にその疑問を解消すべく来てくれました。そして、話し合って上記3つの目標を決めた次第です。さっそく日常病の代表でお年寄りに多い膝痛に関しての猛勉強と針灸治療の実際を経験しました。

■風邪(ふうじゃ)は万病のもと

 三井くんは、すでに何回もTOMOTOMOの勉強会や被災地のボランティアに参加しているので東洋医学でいう風邪(ふうじゃ)とカゼ(感冒)の違いは分かっていました。ただ、医学部5年生ともなると、日々西洋医学の勉強が忙しく、前に習ったことをどこまで覚えているかおぼつかないことでしょう。

木村それでは三井くん、感冒の復習です。

三井昨晩、睡眠時間を惜しんでカゼの東洋医学的診かたをしっかり勉強しました。何でも質問してみてください。

木村そうですね。それでは、どうして膝痛の後に、カゼの東洋医学的診かたを勉強するのでしょうか?
 

(続きはログイン・ご購読後にお読みいただけます)

この記事の続きをお読みいただくためには、週刊『あはきワールド』(有料コンテンツ)のご購読手続きが必要です。

ご購読の申し込み ログイン(ご購読済みの方はこちら)




トップページにもどる