週刊あはきワールド 2017年8月9日号 No.533

随想

Subcultural Acupuncture (その29)

~Incentiveが足りない!~

Body & Soul 箕輪政博 


◎その26 鍼灸は埒外か?
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1.想起

 「インセンティブ」(Incentive)という言葉をよく聞く。その単語の意味は刺激や誘因、結果報酬であり、経済学やビジネス界などで用いられている用語である。ビジネスのみなならず、人の行動や欲求はIncentiveが重要な動機であろう。俗に言う「人参ぶら下げて」である。最近、厚生労働省も健康づくりに関してIncentiveを活用しようとしているらしい。

 日本の鍼灸とIncentiveについて想う。

2.回想

 鍼灸師になるきっかけは人それぞれ。親が鍼灸師であった、スポーツやケガなどで知った、東洋医学に興味がある、手に職が付く、開業で一儲けできそう等々、しかし、多くの人が専門学校入学後、厳しい現実を知る。夢を砕く教育、国家試験の合否、限られた進路選択、収入の低さ、臨床力と将来への不安等々、そこで皆考える。外部団体(経絡治療、中医学、現代医学的応用など)での臨床研修、ライセンスのヴァージョンアップ(柔整師、PT、エステティシャン、トレーナー、教員など)、ビジネスモデルの画策といった一連の行動である。これらは一種のIncentiveといえそうだ。

 おかげさまで筆者は教員として、鍼灸を核にメシを喰ってきた。教員として安定した頃、やはり原点である東洋医学・鍼灸学を深めたいという「真面目で前向きな動機」から、教科指導で東洋医学の勉強を深め、文献を漁り、中国に研修にいったり、大学・学会、大学院で研究したり、研究会や雑誌などで発信などもしてきた。これらもIncentiveと考えられそうだ、しかし、下世話な話、残念ながら直接、収入には反映されないどころか、経済的にはマイナストータルであった。まあ、安定収入があるので生活に影響するマイナスではないし、鍼灸のため、ひいては日本の医療のためという自負で動いてきたつもりだった。もちろん、私の活動なんて、たいした努力ではない。鍼灸を愛し、脇目もふらず日々汗水流し、自腹を切って研究や業界活動にボランティアしている同輩が沢山いることも存じている。

 しかし、ここではきれいごとはやめる。
 

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