週刊あはきワールド 2017年12月6日号 No.548

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.44-1

パーキンソン病はこう治す(1)

~パーキンソン病に対する私の鍼灸治療法~

明治国際医療大学はり・きゅう学講座 江川雅人 


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1.パーキンソン病とは

1)パーキンソン病の概念と疫学 
 パーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)は振戦、筋強剛、無動(寡動)を主な症状とする中枢神経系疾患です。中脳の黒質にあるメラニン細胞の変性、萎縮により神経伝達物質ドパミンの合成が損なわれて枯渇した結果、さまざまな症状が出現します。

 我が国ではPDは人口10万人あたり100〜120人程度とされていますが、50歳以上になると罹患率が上昇し、70歳代では100人に1人がPDと言われています。したがって高齢化の進む我が国ではPD患者は増加傾向にあり、症状の緩和を目的として鍼灸治療を希望する患者の数も増えていると思われます。

2)PDの症状(表1)
 PDの症状は大きく分けて運動症状と非運動症状に分けられます。

表1 パーキンソン病の臨床症状
運動症状
 振戦:安静時振戦、pill rolling tremor、周波数4〜6Hz
 筋強剛:歯車様筋強剛、鉛管様筋強剛
 無動(寡動・動作緩慢)
 歩行障害:小刻み歩行、突進現象(加速歩行)、歩行開始困難(すくみ足)、
        矛盾歩行
 姿勢反射障害
 嚥下障害
非運動症状
 自律神経症状:便秘、起立性低血圧、排尿障害、発汗異常
 睡眠障害:夜間頻回覚醒、 レム睡眠行動障害 、Restless Legs症候群
 認知機能障害:思考緩慢、単語想起遅延
 精神症状:抑うつ、幻覚
 感覚障害 :疼痛、こり感
薬物治療の副作用症状
 不随意運動(ジスキネジア)、自律神経症状、抑うつ(自殺企図)

 運動症状である振戦(手足のふるえ)、筋強剛(筋肉のこわばり)、無動(寡動・動作緩慢)はPDの3大症状とされます。3大症状に加えて、歩行困難、姿勢反射障害、嚥下障害などがよくみられる症状です。歩行困難としては、歩幅が小さくなる小刻み歩行、歩行を制御できずに加速する突進現象、床に足が張り付いたようになるすくみ足、線を跨ぐなど障害があると歩きやすくなる矛盾歩行などがみられます。姿勢反射障害とは、身体のバランスが崩れた時に体勢を保つための反射が障害された状態のことで、揺れ動くバスや電車の中では立っていられなくなります。

 非運動症状としては自律神経症状である便秘、起立性低血圧、排尿障害、発汗異常や、睡眠障害である夜間頻回覚醒、レム睡眠行動障害、Restless Legs症候群(むずむず脚症候群)、認知機能障害、精神症状である抑うつ、感覚障害である疼痛やこり感が認められます。

 近年になりPDにおいては非運動症状が注目されるようになりました。本疾患においては、便秘は3大症状の一つである振戦よりも発症率が高いとされ、また、抑うつはPD患者や介護者(配偶者)のQOL:Quality of lifeに最も大きな影響を与える症状とされると考えられています。

 また、PD患者には、PDに由来する症状以外にも、薬物治療の副作用症状としてジスキネジアとよばれる不随意運動がみられます。ジスキネジアは律動的にふるえる振戦とは違って、上体や四肢をくねらせるような動きがみられます。さらには自律神経症状や自殺企図などの抑うつ症状が認められることもあります。
 

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