週刊あはきワールド 2018年1月10日号 No.552

■インタビュー 『入江FTシステム入門』の著者・田中寿雄氏に聞く!

入江FTシステムに魅せられて(上)

~1冊の本との出合いが人生を変えた!~

 【聞き手】あはきワールド編集人 


入江FTシステムを構築した入江正氏の直弟子だった田中寿雄氏がこのほど『入江FTシステム入門 初学者のための入江式経脈・経別・経筋・奇経治療』を上梓した。Sm(Smooth)かSt(Sticky)か判断しながら診察するフィンガーテストや、イオン・パンピングコード(I・Pコード)を結線して治療する処置法など、普通の鍼灸治療とはちょっと違う入江FTシステム。田中氏の臨床では、以前は刺鍼した鍼にI・Pコードを結線していたが、最近は刺鍼せずにI・Pコードの接触のみで処置する場合がほとんどだとか。ということは、鍼がなくても治療ができちゃうのか?! なんだか面白そうな入江FTシステム。せっかくだから、本を読んで気になったことを含めて、田中寿雄氏にいろいろ聞いてみた。
 

田中寿雄(たなか・ひさお)

1943年8月22日 京都市に生まれる。
1977年 佛眼厚生学校卒業。同年、一橋アシラム開設。
1986年4月1日~同年6月28日 上海中医学院国際鍼灸培訓参加。
1987年 入江正先生の押し掛け弟子となる。
1989年 入江FT塾開講。事務局を務める。
1999年 寺子屋お産塾開設、未妊・妊娠ライフ・お産・子育ての自己ケア活動の推進。
著書に『入江FTシステム入門』(ヒューマンワールド刊)がある。

 


田中寿雄氏
―― 今日はお忙しい中、お時間を割いていただきありがとうございます。田中さんが執筆された『入江FTシステム入門』がついに出版されましたね。おめでとうございます。

田中ありがとうございます。「入江FTシステムによる診断と治療」へのガイドブックの役割を果たせたか? 否か? の思いでおります。




鍼灸学校に行くキッカケは武道家の師範に勧められたから

―― 『入江FTシステム入門』については、あとで触れたいと思いますが、まず田中さんの鍼灸人生について、少し聞かせてください。プロフィールを見てみると、30歳を過ぎて鍼灸学校に入学されているようですね。それまでは何をされていたんですか?

田中祖父からの家業である米穀商を継いでいました。

―― 米穀商から鍼灸師へ。鍼灸学校に行こうと思った動機は?

田中武道家の師範から「鍼灸術は面白い。入学しないか」と、勧められたのがキッカケです。

―― 武道家の師範の方は、田中さんが家業をやられているのは知っていたでしょうに、どうして鍼灸学校への入学を勧められたんでしょう?

田中師範も家業を継いでおられて学校の時間に、任せる方がおられた状況が似ていたということ、さらに、学校の雰囲気を感じられてのことのようです。

同窓と一緒に卒業できず、半年後に卒業

―― 学校は佛眼厚生学校ということですが、これは現在の京都仏眼鍼灸理療専門学校ですね。

田中そうです。私が入学した当時は本願寺が運営されていた学校で、講堂は畳の仏間でした。私が卒業した5年後頃に宗教分野の新聞社に譲渡されて、正式な校名も変わり卒業から10年ほどして、新聞社跡に学校が新設されて当院から徒歩2分のところに移転してきました。

―― 2分ですか。目と鼻の先じゃないですか。ところで、学生時代は、どんな学生でしたか?

田中2年までの按摩術の授業、3年では外来受診者の臨床時間は楽しみでしたが、他の授業は退屈で3年になると休むことが多くなりました。お陰で3月には同窓の皆とは一緒に卒業できず、補習授業を受けるようにとの指示。しかし、行かずにいたところ、9月に校長から「どうするのですか?」と電話があり、「どうしましょう」と。とにかく、学校に来るようにとのことで行くと、卒業証書と鍼・灸師の合格証書を半年遅れで拝受した、という手を焼かした学生でした。

―― 補習授業を受けなかったのに、卒業させてくれたんですか! 今ならちょっと考えられないような気もしますが、1970年代という時代を考えると、そういうのも「あり」の時代だったんでしょうね。それと、卒業証書はわかりますが、免許証を学校が渡したというのは? 当時は確か、都道府県免許の時代ですよね? 学校から渡されていたんですか?

田中当時は善きにつれ、悪しきにつれ、大まかと言うか、大らかさと捉えるべきかわかりませんが、校長から直に渡されたと記憶しています。現在の学校に代わり近隣ということもあり、唯一教職に残られていた方から呼ばれて入学式・卒業式に出向きましたが、在学中とは一変した学校に変わっていました。入学金・学費の大幅な違い、教師の方々の入れ替えなど学校運営の全てが激変したことから、現在の学校組織でしたら私の卒業は100%なかったと思います。

卒業後、即開業するも「鍼灸治療とは?」の答え見つからず

―― 著書を見ると、「卒業した年に鍼灸院を開設」とありましたが、そうすると、卒業されたのが1977年9月ですから、卒業後、3カ月余の間に、開業されたわけですね。卒業即開業なんて、私だったら不安でとてもできそうにありませんが、患者さんはすぐ来ましたか。

田中親戚・友人に鍼灸を業としている人がいなかったこと、近隣に鍼灸院がなかったこと、鍼灸学校時代から知人の家へ出掛けてお灸をしていたので(※鍼はしませんでした)、来院者はありました。しかし、当初は一人でも多く臨床経験を積みたい思いから開院から半年後、保険の取り扱いを始め2年間保険治療を行いました。その時期が1日の受診者数は40年間の中で一番多かったです。

1冊の本との出合いが人生を変えた

―― 保険だと安く受診できるので、患者さんは来やすいんでしょうね。で、どうして保険をやめられたんですか?
 

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