週刊あはきワールド 2018年1月31日号 No.555

治療家のための薬の基礎知識 第13回

患者が服用していることが多い薬剤について

~鎮痛剤(5)オピオイド鎮痛薬~

千葉大学医学院和漢診療学非常勤講師 和光治療院・漢方薬局 平地治美 


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 痛みは脳に情報が届いて感じるものですが、オピオイドは脳や脊髄に直接作用して痛みを抑える薬の総称です。鎮痛効果が最も強い薬で、がん性疼痛などの他の鎮痛薬が効かない激しい痛みに用いられます。

「医療用麻薬」と不正麻薬との違い

 子供の頃、近所に綺麗なポピーが植えてありました。毎日そこを通って通学するのを楽しみにしていたのですが、ある時、花畑の前にパトカーが停車していて小さな人だかりができていました。花畑の回りにはロープが張られ、警察官が写真を撮ったりして忙しそうにしています。「あのポピー、マヤクだったそうよ。奥さん、知らないで植えてたんですって、怖いわねえ」とヒソヒソ話が聞こえてきました。どうやらケシの園芸品種であるポピーに混ざって、本物のケシが植えてあったようです。子供だった私の頭には「ポピーはマヤクの怖い花」というイメージがインプットされました。

 このように「麻薬」といえば、覚せい剤や大麻なども含めたな違法薬物を思い浮かべる人が多いかもしれません。

 もともと「麻薬」とは、ケシ(opium poppy)の実から採取される果汁を乾燥させたものであるアヘン(opium)のことを指していました。このケシの実に含まれる成分はオピエートと呼ばれ、そこから合成されるものがオピオイドです。麻薬とは、本来このようなオピエートやオピオイドを指しています。オピオイドには、ケシ(Opium poppy)に生成されるアルカロイドや、それらの合成化合物モルヒネ、ヘロイン、コデイン、オキシコドンなど、また体内に存在する内因性の化合物(エンドルフィン、エンケファリンなど)があります。

 社会的に使われる「麻薬」という用語は、「麻薬及び向精神薬取締法」で「麻薬」に指定されている薬剤を指しています。先出の薬理学的に使う言葉である「オピオイド」とは意味が異なります。オピオイド受容体とは関係しないものもあります。例えばここ数年報道の多かった大麻は、法的には麻薬ですがオピオイドではありません。

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