週刊あはきワールド 2018年7月11日号 No.577

新米鍼灸師の研修奮闘物語 File.15

Resident.SeのBSL(Bed Side Learning) Diary(15)

~医療面接だけで7割は診断できる…はずなのに~

鍼灸レジデント2年目 平岡遼 


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 この3週間ほど、さまざまな気象や自然災害のニュースが続けざまに舞い込んでいますね。6月17日には地震の少ない群馬県で震度5弱の地震があり、翌日の6月18日には大阪北部で最大震度6弱の地震がありました。6月29日には関東地方では平年より22日も早い梅雨明けが発表された一方、西日本では停滞した梅雨前線に台風7号が重なった影響で7月3日から記録的な豪雨となり西日本広域にわたって大きな被害が出ています。被害に遭われた方々には心よりお悔やみ申し上げます。

 TOMOTOMOではこれまで岩手県大槌町や熊本県西原村などの被災地で医療ボランティアをしており、私も2年前から何度も参加させていただいていますが、あはき師が被災地でなにができるのかという問題は大きな課題だと感じます。腰痛、膝痛などの平時でも多い訴えは、当然ながら被災地でも多くみられます。しかし被災地の医療ボランティアの治療を受けにいらっしゃる患者さんは高リスクの方の割合が多いのです。普段治療院にはいらっしゃらないような高リスクの方も気軽に来やすいためでしょうか。そのときに大切なのは、鍼灸治療をしてよいのか、マッサージしてよいのか、治療はしても後日病院で検査を受けるべきなのか、などを判断できるかどうかです。非常時には、平時にはあまり鍼灸院ではお目にかからないような外傷や感染症、心因性反応なども気にしなければなりません。つまり、緊急性があるかどうか、とくに被災地では西洋医学的に診られることが重要です。果たして私にはできるのでしょうか? 今回も鍼灸臨床ではよくある腰痛を題材に、自分自身に警鐘を鳴らす反省体験をご紹介したいと思います。

■3日前から左腰痛が現れた39歳女性

 39歳女性が、3日前から左腰が痛いということで内科に来院されました。腰痛ではまず部位を聞くと前回の原稿でも学んだので、反省を活かしてまずは部位を聞きました。指一本で範囲を示してもらうと、およそT12~L2ぐらいの高さの左側の腰でした。片側性の腰痛では尿路結石を発見できず何度も痛い目を見ているので、念のため脇腹や腹部の痛みもクローズドクエスチョンで聞き、痛みがないことを確認しました。痛みの部位だけで除外はできないぞ、と思いながら医療面接を進めます。3日前に朝起き出したときから左腰に痛みを感じ、思い当たる原因は特になし、安静時痛なし、夜間痛なし、下肢症状なしでした。「ずっと痛い」と訴えていましたが、よく聞くと痛みを感じないときもあるとのこと。痛みの強さは我慢できるくらいで日常生活に支障を来すほどではありません。動きによる増悪は自覚的には感じず、仰向けになると楽になり、この3日間痛みに変化はないそうです。二便に異常はなく、他に気になる症状もありません。体温は36.5℃で平熱。過去1年以内にも同じ痛みが現れたことがあり、そのときは一日で治ったそうですが、そのときの本人の解釈は夜中にポテトチップを食べたからでした。

■想定される疾患はなんだろう??

 私はここで困ってしまいました。安静時痛も夜間痛もなく痛みの程度も我慢できる程度。内臓疾患を示唆する所見はなく、骨折でも腫瘍でも感染でもなさそう。下肢症状もないが、非特異的腰痛にしては動作時痛がないのはおかしいのではないかと思いました。また、本人は夜中に暴飲暴食すると痛くなる、と言っていましたがそんな腰痛は少なくとも教科書には載っていません。鵜呑みにしてはいけないと思いました。しかしこれでは原因疾患が一つも挙げられていないことになってしまいます。

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