週刊あはきワールド 2018年7月11日号 No.577

生命に学ぶ鍼灸医学 第2話

学ぶ姿勢

~日本医学の原点と思想的背景~

一元流鍼灸術代表 伴尚志 


■この連載について

 この文章の目的は、鍼灸医学の基礎の解説をすることにあります。東洋医学的な鍼灸を、原理的に煮つめて以下の条項にまとめました。毎月順を追って送信することとなりますのでよろしくお願いします。
  1. 東洋医学的な鍼灸を探求した人々は、聖人を目指していました。その聖人とは超能力者ではなく、求道者のことです。
  2. 鍼灸治療の目標とは何でしょうか。その基本は、生命を調えることにあります。そこを見ることができるから、今を磨く養生を提言することができるわけです。
  3. 鍼灸医学は単なる症状とりのための技術ではありません。生を応援するための技術です。深い治病はその後についてくるものです。
  4. 診ることを磨くために弁証論治があります。時系列の問診をして生命の流れを診、四診をして今の状況を診、構造的に考えていくことによってその生命状況を見極めます。
 さて前回は、小乗の悟りと大乗の悟り、そして菩薩行について述べました。生きるとはどういうことなのかという問いが生命医学である東洋医学を形成した中心のエネルギーだからです。その答を見出し、「生きる」ということを自覚的に実践し続けた人物として、釈迦と白隠禅師とを例としてあげてみました。求道者が医学を作り出したこと、これが東洋の医学の原点であると述べました。

 今回は、日本の医学の原点である、江戸時代について、その思想的背景とともにお話します。日本の医学が実践的なものであった思想的な背景として、神道―禅―陽明学をベースとした気一元の哲学が存在したことがあげられます。それでは始めましょう。

■第2話「学ぶ姿勢」 日本医学の原点と思想的背景

 皆さんは忘れているかもしれませんが、東洋医学などというものは実は存在しません。東洋医学という言葉は、西洋医学に対して使われている言葉であり、江戸時代末期までは、単に正統派医学だったにすぎません。

 その正統派医学にはさまざまな種類がありました。紀元前後の後漢初期にまとめられ、古典として尊崇される『黄帝内経』の中にさえ、当時のさまざまな流派の記載があります。歴史を下るにつれて、もともとは医学の原点であった鍼灸系統についての記載よりも、より詳細な理論を展開しやすい湯液系統の記載が増えていきます。

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