週刊あはきワールド 2014年10月22・29日合併号 No.399

『抗重力鍼療法』へのいざない

抗重力療法は姿勢と重力が原因で起こる二足歩行ならではの障害をひも解き、それを治療に結びつけて確立したものである

『抗重力鍼療法』の「はじめに」より

 内田輝和 


 先日、『抗重力鍼療法 重力負荷を取り除く刺鍼テクニックと疾患・症状別治療法』を上梓いたしました。ここでは、本の紹介を兼ねて、本書の「はじめに」を転載させていただきます。(編集部)

はじめに

抗重力鍼療法 重力負荷を取り除く刺鍼テクニックと疾患・症状別治療法(内田輝和著) ヒトの進化の過程で二足歩行を実現したことのメカニズムは大変興味深いものである。人類が発展させてきた歴史を振り返るとその結果の素晴らしさが見えてくる。

 まず、手が自由に使えることによって食べることが安易になった。そうすると、動物のように舌で物を掴む必要性がなくなるので、舌は短くなる。このように、二足歩行と四足歩行との違いは現れてくるが、もっと興味深いのが重力への対応である。

 我々が生涯を過ごすには、この地球で受ける重力を身体にどう共有させるかである。我々は一日中でも二足歩行することが可能である。しかし、動物はそこまでは不可能である。その理由の一つに殿筋がある。見ていただきたいのが殿筋の丸みのある形である。これは動物にはない。

 なぜか。その理由は尾骨としっぽの違いである。人間は顔で心を表現できるが、動物は主にしっぽで行う。要するに、しっぽがあることで骨盤底筋の働きができない。だから、四足歩行となっている。人間はこの筋肉の働きで、肛門が地面に垂直になっても骨盤内の物が落下しない構造になっている。これが抗重力療法のヒントとなっている。

 ヒトの進化の過程で得た二足歩行を、命ある限り続けることが我々の宿命であり、幸福な人生である、と私は思う。ただ、この二足歩行ならではの障害が姿勢と重力が原因で起こる。それをひも解いて治療に結びつけて確立したものが抗重力療法である。

 さて、私は2012年に『抗重力手技療法』を上梓した。それは、抗重力療法を構成する二本柱のうち、「手技療法」に特化したマニュアルとして書き上げたものだが、もう一つの柱である「鍼療法」についてまとめる作業が残ったままになっていた。そこで、本書は「鍼療法」に主眼を置き、抗重力鍼療法のマニュアルとしてまとめ上げた。

 鍼灸には、古典的な鍼灸から現代医学的なそれまで多様な治療法が存在するが、抗重力アプローチができるようになれば、治療の幅が一段と増すことになる。日常の鍼灸臨床の中で出くわす疾患・症状別の治療方法もできるだけ収載したので、日々の臨床の中で活用していただければ幸いである。

 

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内田輝和(うちだ てるかず)

1949年、岡山県生まれ。70年、関西鍼灸柔整専門学校卒業。良導絡治療創始者、中谷義雄氏に師事した後、74年、鍼メディカルうちだ岡山本院開業。79年、岡山大学医学部麻酔蘇生学教室東洋医学研究班入局。87年、関西鍼灸短期大学非常勤講師。現在、倉敷芸術科学大学生命科学部健康科学科鍼灸専攻教授。岡山大学医学部非常勤講師。(公社)日本鍼灸師会理事。日本良導絡自律神経学会執行部理事。(公社)岡山県鍼灸師会会長などの要職にある。著書に『抗重力手技療法~ひねりの手技で抗重力筋を蘇らせて症状を取る~』(ヒューマンワールド)『やせる!骨盤トレーニング』(リヨン社)『大学教授が教える本当に効くツボ』(マキノ出版)『「1分下半身筋トレ」でやせる、不調が消える』(主婦の友社)、DVDに『筋肉は蘇る! ひねりの手技で筋ボケを治す抗重力療法【手技療法編】』『すぐ使える美容鍼&美顔矯正術』(ともにヒューマンワールド)などがある。


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