週刊あはきワールド 2015年3月18日号 No.418

〈黄帝と老子〉雑観 第15回

五蔵六府はなぜ五蔵六府なのか

『黄帝内経』の謎を解く鍵は数術にある(その3)

『黄帝内経』研究家 松田博公 


 
 わたしが、五蔵六府の命名は臓腑の実数に基づくのではなく、「天六地五」の古代観念の当てはめであると知ったのは、7年近く前、趙洪鈞先生の著書『《内経》時代』に触れたときであった。趙先生は、中国の中西医結合派の医師だが、『黄帝内経』の研究に身を入れ、古代思想を踏まえた『素問』『霊枢』の読解で一家言をなしておられる。『《内経》時代』は、現在、70歳の趙先生の40歳ごろの自費出版書で、わたしはインターネットの交流サイトに転載された文章を読み、「『黄帝内経』の体系は天人相応の体系である」という断言に我が意を得たりと感動した。そして、五蔵六府という定型句は、「天六地五」という「天数」から導かれているという説に納得した。同時に、日本の古典派鍼灸師や中国の伝統派中医師から現代医学の回し者であるかのように見られている中西医結合派に、数術を含む古代思想を視野に入れた重厚で本格的な『内経』研究家が存在していることに驚き、視野の狭さを羞じたのである。[『《内経》時代』は、2012年、北京の学苑出版社から刊行されている。]

 この本で趙先生が論証しているように、五蔵六府が神秘数「天六地五」に基づく命名である証拠は、古代文献に語らせることができる。まず、「天六地五」の概念の初出を、周の時代の歴史を記した『国語』周語下に見てみよう。
 

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