週刊あはきワールド 2015年3月18日号 No.418

随想

Subcultural Acupuncture (その2)

~鍼灸大学を想う~

Body & Soul 箕輪政博 


◎その1 長崎を想う
 

1.想定

 人生を学歴で云々するのはナンセンスであり、ましてや人の能力を偏差値で片づけるなんてもってのほかである。己の能力を覆い隠すことができないので、そう断言したいところだが、煩悩にまみれた浮き世は所詮、経歴や数値がつきまとう。

 大学の偏差値というのは、自らが公表している数値ではない。あくまで、民間予備校を中心にした模擬試験の結果と過去のデータから算出した数値であって、絶対的なものでもない。私立大学の場合を例にとってみよう。ある大学の志願者が増える→倍率が上昇する→合格基準の成績が高くなる→試験が難しくなる→その大学の模擬試験受験者が増加する→模擬試験結果の偏差値が上昇する、といったように、大学人気度的な要素もあると言える。社会表向きには偏差値は憚りが多いようであるし、あくまで入学試験の合格点を基準にした偏りを現す数値なのだが、実質的な面を現しているともいえそうだ。

 少子化に伴い、日本の大学は生き残りに躍起になっているという。国公立大および早慶MARCHや関関同立を頂点とするいわゆる難関大から日東駒専、産近甲龍などといった有名大などは別としても、それらに追随する大学や中堅大、特色のある学部を売りにした大学などは淘汰の波を乗り越えるために様々なストラテジーを駆使し学生を集めている。存続を危ぶむ大学の自作自演の「偏差値操作」が話題になったこともあるが、大学関係者や受験生が偏差値に敏感で一喜一憂するのは無理もない。

 現在10大学を超えた、鍼灸に関係する大学(鍼灸大学)もその渦中にいる。明治鍼灸大学が明治国際医療大学と改称したように、設立当時は「○○鍼灸大学」だったものが鍼灸をはずし「○○医療大学や○○保健医療大学」などと改称し、新設大学も「鍼灸」を名称に用いないことは、日本の大学トレンドに乗り遅れまいとする一面であろう。2015年2月、文部科学省から公表された大学の改善策に関する調査報告で、一部の新設鍼灸大学が定員割れについて指摘されたように、学生集めに苦労しているのは実情であり、その偏差値が総じて低いことも実態である。筆者はこの状態が日本の鍼灸の側面を象徴しているようで、とても気がかりである。

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