週刊あはきワールド 2015年4月22・29日合併号 No.423

【新連載】あはきメンタル~基礎編~ 第1回

腰痛とこころ(1)

~腰痛と心理社会的要因~

目白大学大学院心理学研究科教授 奈良雅之 


 『あはき心理学入門』(ヒューマンワールド)が2010年に出版されてから、まもなく5年が経過しようとしています。同書は、あはき臨床におけるあはき師と患者との良好な関係そのものに認められる治療効果に注目して、その効果を最大限に引き出すための知見や技法、治療者の態度についてまとめられたものです。そのため『あはき心理学入門』では、一般的な医療面接のテキストであまり触れられていない患者教育や心理介入、心理療法についても頁が割かれています。

 しかしながら、限りある頁の中で説明が少し難しくなってしまったことは否めません。また、各論では、わたしたちあはき師が日ごろ治療する患者さんの訴えの多くを占める「腰痛」や「肩こり」などについても触れられていません。

 そこでこのシリーズでは、『あはき心理学入門』の基本に立ち返り、同書の内容を踏まえて、それを補足、補完してまいりたいと思います。今回の話題は腰痛です。

1.慢性腰痛と心理社会的要因

 腰痛は、厚生労働省平成22年度国民生活基礎調査における症状別有訴者率が男性の第1位、女性の第2位であり(図1)、日本における代表的な身体愁訴の一つということができます。これまで、腰痛は脊椎の構造が傷つくことなどによって起こる「脊椎の形態学的異常」と考えられていました。しかしながら、近年、腰痛は、画像検査等で原因が特定できる腰痛と、明らかな原因が特定できない非特異的腰痛に分類されており、腰痛全体の80%以上は非特異的腰痛であるとされています。また、腰痛の慢性化には心理社会的要因が関与していることが福島県立医科大学を中心といた研究で明らかにされています。
 

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