週刊あはきワールド 2015年5月27日号 No.427

あはきメンタル~基礎編~ 第2回

腰痛とこころ(2)

~怒りは腰痛と関係するか~

目白大学大学院心理学研究科教授 奈良雅之 


 
 腰痛は、肩こりと並んで、日本における代表的な身体愁訴の一つということができます。近年、腰痛は、画像検査等で原因が特定できる腰痛と、明らかな原因が特定できない非特異的腰痛に分類されており、腰痛全体の80%以上は非特異的腰痛であるとされています。非特異的腰痛における腰痛の慢性化には心理社会的要因が関与していることが福島県立医科大学を中心とした研究で明らかにされています。なかでも、慢性の腰痛に抑うつが関係するという報告は複数なされています。

 一方、怒りの感情が腰痛と関係するという指摘も存在します。Sarno(1999)は、フロイトの精神分析を根拠に、腰痛の原因を精神的緊張によって引き起こされる筋肉内血液循環の機能異常であるとしました。つまり、腰痛は、怒りの感情を抑えきれなくなった患者が自ら起こす身体症状であると指摘しているのです。

 しかしながら、腰痛の発症及びその程度の違いと怒りに関連性がみられなかったという報告もあります。怒りと腰痛は無関係なのでしょうか?

 痛みには局在が明確なはっきりしたものと局在が不明確なにぶい感覚を主体としたものがあり、それぞれ一次痛、二次痛などと称されることがあります。また、その原因から侵害受容性疼痛や神経因性疼痛などという分類もあるのはご存知かと思います。患者さんの腰痛が非特異的腰痛であるとすれば、原因がはっきりしない状況の中で、患者さんの訴える痛みの感覚がどのようなことばで表現されるのか、医療面接でしっかりと聴き取った上で、検査結果と合わせて分析することが、治療方針を決める上で重要と思われます。そこで私たちのグループでは、腰痛の感覚を表現することばの分類を試みました。その上で、怒りの感情が腰痛と関係するのかどうかを質問紙調査により調べてみました。今回はその内容を中心にデータを交えてお話します。

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