週刊あはきワールド 2015年6月10日号 No.429

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.15-1

半月板損傷はこう治す!(その1)

~血を強引に動かせる瀉法鍼の臨床応用(動画付)~

脉診流にき鍼灸院 二木清文 


 熱狂的人気は昔ほどではないにしても、日本人にバレーボールとの縁は深く高校生あたりのプレーヤーが治療に来院するケースは少なくないと思われます。腰痛や肩関節痛も多いと思われますが、膝関節痛もかなりの割合で訴えられています。

 ところで、先に腰を痛めて膝への負担から膝関節痛になったものでも、逆に膝関節を直接痛めてその負担が腰に掛かるという点でも、膝関節痛の場合は必ず腰とセットで治療をしなければならないものです。いきなり話がそれてしまいますが、私が「局所治療では鍼灸はダメなんだ」と痛感した事例と全く同じものを最近経験したので、それを先に紹介をします。

学生の頃、「局所治療では鍼灸はダメなんだ」と痛感した事例

 専門課程の1年生でも冬になっていたので、毫鍼を刺鍼するだけなら自分へはもちろん周囲の人になら平気になっていた頃、左下肢の血海付近に強烈な痛みが発生してきました。ちょうどいい腕試しだと局所へ刺鍼練習をしていたのですけど、この痛みが頑固で治癒しません。それどころか沈痛時間が長続きしないときもあり、局所の炎症がひどくなり触診するだけで痛みがひどくなることさえ出てきていました。

 たまたま盲学校OBの方と話をする機会があったのでこの痛みについて相談をしたところ、「よく揉んで何度でも刺鍼をしなさい」という答えだったのでしばらく忠実に実行をしたのですけど、局所は赤く腫脹をしてきました。とうとう過敏になってきて切皮をすると必ず痛い状況ですからしばらく放置していたところ、不思議とこの頑固な痛みを感じない時間帯が出てきていたのです。

 「これは一体どういうこと?」と考えていると、ちょうどクラスでの鍼実技は腰部への刺鍼練習の時期であり、モデルになった時間によってはその後に痛みが消失していることに気づいたのです。そして腰への施術がうまくいくと痛みが軽減もしくはしばらく消失するのであり、クラスメートの協力を得て経過観察をすると仙腸関節への刺鍼が特に効果が顕著で、血海付近の局所へはわざと刺鍼を停止しているのに痛みが治癒してしまったのです。

 つまり、臨床経験というにはあまりに貧弱な力の集団が導いた結果ではあるものの、今回の血海付近の痛みの原因は腰にあると結論づけられたのでありました。ついでに腰部への施術は、側臥位の方が腹臥位よりも負担もリスクも少ないという結論も導けて、主訴が横隔膜より上側であるなら腹臥位で下側なら側臥位で標治法をするという現在の基準にもつながってきています。

学生の時に体験した事例と全く同じものを経験した最近の事例

 今年の春に来院した女子バレーボール部員は中学の時に母親に強引に連れられて来院したことがあるのですけど、半年前から右血海付近の痛みに苦しんでいて自宅近くの接骨院で局所への施術を受けていたのですが、効果がなかったので今度は自ら来院をしてきました。

 「あのときの経験と全く同じだ」ということで、助手と患者に思い出話を披露しながらわざと局所へは指一本触れない治療をしたのですけど、1週間に一度の治療の日以外は練習を休むことなく1カ月で治癒をしています。かなり体格がよく悪血体質であったことから証は難経七十五難型の肺虚肝実証で、ていしんのみの治療ですから仙腸関節付近への標治法には重点を置きましたが、刺鍼もしていません。

 現在の臨床スタイルでは当たり前も当たり前になっていることですが、この強烈な体験から症状の出ている部位と原因のある部位は必ずしも一致しないので、必ず原因部位を追求するようにしていますし、局所への施術が無駄な場合は極力避けています。特に上肢の場合は局所への施術はほとんど無駄でしょう。

 ところが、物理的変化がある場合はやはり局所へも施術をしなければならないというよりも、物理的変化を修復すれば一般的には鍼灸には不向きに思われている症状も難なくこなせてしまいます。物理的変化を修復するというのは、鍼灸でいえば血を動かすということになります。

謎だらけの瀉法鍼

 ここで登場してくるのが、今は私のオリジナルアイテムの一つになっている「瀉法鍼」という道具です(図1)。この具体的な使い方等についてはビデオをまずご覧ください。

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