週刊あはきワールド 2015年10月28日号 No.447

鍼灸マッサージボランティア活動報告

関東東北豪雨災害における鍼灸マッサージ治療による支援活動(その3)

災害鍼灸マッサージプロジェクト代表 三輪正敬 


茨城県常総市での支援活動終了のご報告

 2015年9月19日(土)から行っておりました茨城県常総市における支援活動ですが、同年10月23日(金)の現地活動をもって終了いたしました。

 当初撤収予定であった10月5日から、血圧異常をはじめとした体調不良の確認された、常総市役所内の限定部署職員への治療活動を行って参りましたが、

10月24日から市役所内での応援職員が減っていく
罹災証明発行の目途がついたことが確認された
少しずつ休みをとれるようになってきた

という状況であり、災プロとしての積極的な支援は不要と判断しました。

 一方で

応援職員がいなくなることで、担当課は忙しいまま
病欠を含め、依然として体調不良の職員はいる
血圧も50%の職員が高いままである
罹災証明の発行は済んでも「不服申し立て」への対応が続いている

という現状があります。

 これに対しては

治療記録は市役所人事課へ提出しており、支援体制などは市役所側の課題と言える
災プロ活動に参加してくださるボランティアの主体が地元の先生となってきており、活動は地元にお任せした方がよい

と判断しました。

 以上により、災プロとしての公式の活動は終了します。

 現在、物品の提供を含めた非公式の形で、ボランティアを続けられる地元茨城県の先生方をサポートしていくことを検討しています。


写真左:治療会場の和室、写真右:治療室前に設けた血圧測定スペース


写真左:治療スペース、写真右:治療風景


活動予定の周知



































ボランティアの地元中心主義

 なお、ボランティア活動に対して、「地元の同業者が既に営業を再開しているのに、営業妨害にならないか」とご指摘いただくことがあります。

 これに対しては以下のように返答しています。

家屋を流失した避難者が自由診療の治療費を払えるはずがないこと
治療対象の職員の勤務時間帯は、通常の治療院の開院時間外におよぶこと
ボランティア活動で初めて鍼灸マッサージを受けた人の多いこと、またこれにより治療効果を実感した人の多いこと(やがて地元の治療院にかかる可能性を生む、底上げ効果)

 また特に「地元同業者支援」を活動目的の一つに掲げる災プロは

活動開始時、調べられる限りの地元治療院へ連絡をとり、作成した地元治療院リストを各活動場所で配布、掲示している


常総市内の治療院広告を作成し、活動場所に掲示や配布をした


















被災した治療院へ物資支援を行っている


写真左:(株)セイリンからの支援、写真右:せんねん灸発売元(株)セネファからの支援











基本的に亜急性期までの活動とし、慢性期には活動を終了している

といった方法論を持っています。

 もちろん、地元同業者への配慮を欠いたボランティアもあるでしょうし、外部から入るボランティアは、その行動が地元に与える影響を、広い視野を持って自ら観察しなければなりませんが、「営業妨害になるかもしれないから」とボランティア参加自体を止めるのではなく、

現場に入り、継続的に関わることで、広い視野から状況を把握する
長期活動が難しい場合、現場の状況をすでに把握している団体に参加する
地元同業者への具体的な配慮方法を自身で工夫してみる

ということを試みていただければと思います。

 ボランティアでなければ手の届かない被災者の方は必ずいらっしゃいます。

 ボランティアとは「ただ現地に行って治療するだけ」ではありません。

 いかに地元に迷惑をかけないか、を大切にする「地元中心主義」がその根底にあります。

 2011年の東日本大震災における支援活動時、大阪から参加された先生の感想に以下の文章がありました。

 「個人的な達成感を得ることを考えていた私にはボランティアの発想を転換させられました。被災者の方のニーズがもっとも優先され、大切にされるものであること。ボランティアはそれを実現するために力と工夫と努力で頑張ること、被災者に迷惑をかけないことを認識させられました。」

 最も大切なところを、活動を通して体感し、ご理解くださったのだと思います。

 4年半ぶりの再始動となりましたが、今回もこの基本を堅持し、事故なく終えられたことに感謝いたします。

お礼

 末尾ですが、今回の活動にあたり、以下の方々にお世話になりました。

活動当初から積極的に治療に参加してくださった筑波技術大学の前田尚子先生
活動中盤から協働した「つくば災害マッサージボランティアグループ」の小池栄治先生
活動に参加してくださった茨城県鍼灸マッサージ師会の佐々木秀一先生
活動に参加してくださった茨城県鍼灸師会の張替健志先生、山田達也先生
南三陸町の仮設住宅から参加された柔整師の阿部琢磨先生や、お忙しい中駆けつけてくださった大浦慈観先生をはじめ、治療活動にご参加いただいた多くの県外ボランティアの先生方
募金という形で活動資金を提供してくださった、松田博公先生をはじめとした同業の先生方、一般市民の皆さま
情報の拡散に協力してくださった藤井正道先生など、蔭ながら支えてくださった2011年参加者の方々
物資支援をいただいた(株)セイリン様、せんねん灸販売元の(株)セネファ様
HPの管理やツイッター、facebookでの発信作業、参加者のスケジューリング、地元治療院調査、現地タオルの洗濯、折り畳みベッドの提供、全般のチェックなど、活動の屋台骨を支えてくださった災プロスタッフ
特に、常総市担当のリーダーとして、ひたすら地元に丁寧な支援を届けようと奮闘されたスタッフの嶺総一郎先生

 そのほか、ここに書ききれない多くの方々へ、
 お蔭さまで多くの被災者に寄り添うことができました。
 ありがとうございます。

 災プロが関わったのは偶然のご縁から茨城県常総市となりましたが、このたびの災害による宮城県、栃木県、福島県などでの被害の様子も伺っております。報道は少ないですが、生活の糧を得るための仕事場や、安らげる家屋を流失された方々の苦悩はいよいよ深いでしょう。

 今回の関東東北豪雨災害により被災された方々の一日も早い復興と、今後のご無事を心からお祈り申し上げます。


写真左:水海道公民館の活動場所に懸かっていた「無事」と書かれた掛け軸
写真右:撤収時、片づけを終えて








 

 
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