週刊あはきワールド 2016年4月13日号 No.469

【新連載】治療家のためのセルフエクササイズ 序

プロローグ

~「治療家の不養生」になっていませんか~

ATC&鍼灸師 山下貴士 


自分の健康を損なっていないか

 私たち治療家の仕事は、手技、手法は違っても体や心を尽くして、患者さんの体を治療していくものです。そのため、患者の体についてはいろいろと勉強したり、セミナーに参加したりと、労を惜しまず努力しています。しかしその反面、自分のことは気にせず、時には体を酷使したり、健康を損なったりということはありませんか。「医者の不養生」という言葉もありますが、自分自身も体の痛みを抱えながら、日々の臨床に当たっている治療家の方も多いと思います。

 また、いくつかの疾患は心が原因になり、発症していると考えられます。私たちも、心が疲れて、体に不調をきたすこともあります。治療家の多くは、患者の体に触れる以上、体を整えることで、心も治療している、といえるのではないでしょうか。私たち自身についても、自分の体の調子を整え、精神を安定した状態にとどめることができるはずです。

もっと自分の健康に気を使おう

 治療家にとって、技術や知識は欠くことのできないもので、常に探求し、上を目指し続けていくものです。そのために、お金や時間をかけてセミナーに参加し勉強している方もいると思います。しかしながら、そのことと同じくらい、またはそれ以上に自分の健康にも気を使ってもよいのではないでしょうか。

 考えてもみてください。体調が悪いときに、集中力を高め、自分の持っている知識や技術を十分に発揮し、治療をできるでしょうか。もちろん、体調が良い時の方が、体も疲れず、知識も活かされ、時には素晴らしいインスピレーションも湧いてきて、自分の持っている実力を存分に発揮できるはずです。

 病気や体調の変化は生きている中で、バイオリズムとしても避けられないものです。しかし、その変化を、健康という範囲内にとどめ、日々活力を持って毎日の仕事や活動に向かっていくことは、とても大切なことです。

 この連載では、自分自身の体というものにフォーカスします。治療家として毎日患者さんに向き合い、トレーナーとしてスポーツ選手の健康管理に携わっている私が、体の使い方について、特に気を付けていることやエクササイズをご紹介していきます。もちろん、これらのエクササイズは、応用次第で、患者さんへのセルフエクササイズとしても、十分お使いいただけます。これらのエクササイズが読者の皆様の健康、そしてその結果として患者さん達へのより良い治療に結びつけていただけると、幸いです。

 

山下 貴士(やました・たかし)

 1970年6月13日生まれ、広島県出身。インディアナ州立大学でスポーツ医学を学び、米国公認アスレチックトレーナー(NATA-ATC)の資格を取得。株式会社オンワードアメリカンフットボール部にてトレーナー活動を開始する。その後、早稲田医療専門学校(現人間総合科学大学鍼灸医療専門学校)で鍼灸師の資格を取得し、活動の場を、整形外科のリハビリ、鍼灸院での施術、東京大学サッカー部アスレチックトレーナー、健康関連企業アドバイザーなどに広げる。2015年には、競泳日本代表チームの海外遠征に帯同し、現在、神奈川大学水泳部アスレチックトレーナー、神奈川大学非常勤講師として活動している。エクササイズリハビリテーションと鍼灸治療の両面より、心身共に健康になることを目指して、トップアスリートのトレーニングから一般の人々の健康維持管理まで行う。選手や患者の自立や自己管理を促すためにも、エクササイズリハビリテーションの概念を日々のトレーニングや施術に多く取り入れている。
 著書に『クリニカルストレッチ トレーナー、治療家のための臨床的ストレッチ入門』(ヒューマンワールド刊)がある。

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