週刊あはきワールド 2016年5月4日号 No.472

■インタビュー ネパールでの鍼灸ボランティアに半生を捧げた畑美奈栄氏に聞く

ネパールでの無料巡回治療(ヘルスキャンプ)

~日本人鍼灸師の参加は今夏がラストチャンス!~

 【聞き手】あはきワールド編集人 


畑美奈栄(はた・みなえ)

 1990年東洋鍼灸専門学校卒、同年ネパールに移住。1993年ネパール赤十字と共同で東洋医学専門学校および付属診療所を設立。5年後には職業訓練校としてネパール教育省に認可され、現地に移譲。2000年医療功労賞(海外部門)を厚生大臣より受賞。1998年より巡回治療(通称ヘルスキャンプ)を実施。2004年には女性の雇用創出を目的にチャランケル村に艾工場を建設。
 
―― ネパールのために半生をささげられてきた畑さんに、ずうっとお会いしたかったんですが、ようやく夢がかないました。今日はよろしくお願いいたします。


畑美奈栄氏
こちらこそ、よろしくお願いします。

―― 鍼灸学校の設立やヘルスキャンプ、艾工場の建設など、これまでネパールで畑さんがやってこられたことを想像するだけでも頭が下がりますが、ネパールに移住されてもう何年ですか。

鍼灸学校を卒業した年(1989年)の6月に移住しましたので、もうすぐ27年になります。

―― 鍼灸学校に入学されたのも、そもそもネパールに鍼灸学校をつくりたかったからだとか。

そうなんです。でも、その辺のところから話し始めていいのかしら…。私の鍼灸学校時代から今日のネパールでの活動まで全部話したら、とても1日では喋りつくせませんが…。

―― お心遣い、ありがとうございます。その通りだと思います。本題に入る前に日が暮れるかもしれませんね。(笑)

「よもぎの会」のホームページに「活動の歴史」を載せています。ここでは、(1)「よもぎの会」発足まで、(2)第1期プロジェクト…「東洋医学専門学校(OTTC)」設立、(3)第2期プロジェクト…無料巡回治療(ヘルスキャンプ)、(4)第3期プロジェクト…もぐさ工場・クリニック建設、と私(よもぎの会)が何をやってきたかの概略を説明しています。

―― ありがとうございます。「あはきワールド」の読者の中には畑さんがどんな人物かを知らない人もいるかもしれませんので、こういったまとまった資料があると助かります。私も読み返しましたが、読むたびに、凡人にはとてもマネのできない「すごい人だな」と思います。「あはきワールド」の愛読者の方も、たまたまこのインタビュー記事を読んだ人も、これも何かの縁ですから、ぜひ「活動の歴史」を読んでみてほしいと思います。

 さて、今日のインタビューの本題に入らせていただきます。「活動の歴史」にも触れられている「ヘルスキャンプ」についていろいろお聞きしたいと思います。まず、ヘルスキャンプとはどういうものですか。

ヘルスキャンプは無医村での無料巡回治療

日本人鍼灸師とネパール人鍼灸師が年に一度カトマンズ以外の地方都市の医療設備や医師の少ない地域へ行き、無料で治療するというものです。日本人鍼灸師にとっては、ネパールの生活習慣、文化、宗教、意識の違いに触れることで、自分を見つめ直す良い機会となり、援助を必要とする国々への理解を深めることができると思います。

―― ネパールでは、無医村、あるいはそれに近い医療設備や医師の少ない地域はまだ多いんでしょうね。

多いですね。カトマンズやポカラといった大都市には大きな病院があり、優秀な医師や看護師がいますが、地方には大病院はなく、優秀な医師も少なく、思うような治療が受けられません。農村に行くと、多くの住民が生活習慣による腰痛・関節炎やリウマチなどの病気で苦しんでいます。医療施設や医薬品も不足しているので、病気になると初期治療はもちろんのこと、病状が相当進行しても祈祷などに頼るだけで、十分な治療を受けることができないのが現状です。そこで、現地に駐在している私が中心になって、無医村が点在する地域へ出向いて無料巡回治療(ヘルスキャンプ)を行ってきました。鍼灸でも十分病気の治療やケガの手当てができますし、鍼灸を広めることにもなると思って始めたのです。

―― ヘルスキャンプはいつごろ始められたんですか。

1998年1月からです。ヘルスキャンプは1回につき約1週間滞在します。最初のころはそれを年12回行っていました。2004年4月まで、合計70回実施し、その間約10万人の患者を治療しました。年12回行うヘルスキャンプは2004年までで、近年は年1回夏に行っています。


1998年に行ったパタン市郊外ルブ村の小学校でのヘルスキャンプ










―― ヘルスキャンプで治療された患者さんの症状はどういうものが多いですか。

参考までに、今から4年前に行ったヘルスキャンプの資料を紹介しますね(別表参照)。このときは1週間で約5000人を治療したんですが、いろんな症状の人が来ました。特に多かったのは腰痛や関節炎、坐骨神経痛などですね。































2012年のパイラワ・ルンビニでのヘルスキャンプ











―― ヘルスキャンプは今年も実施されるんですか。

今年のヘルスキャンプは釈迦生誕の地「ルンビニ」で実施

はい、行います。去年はネパール大地震のため、中止せざるをえなかったのですが、今年はそのリベンジで、去年予定していたのと同じ場所、ルンビニで行います。

―― ルンビニといえば、釈迦生誕の地ですね。

詳しいですね。

―― 実は三十数年前になりますが、行ったことがありまして…。

そうなんですか。

―― いやいや、つい余計なことを…。余談になってしまいましたね、すみません。…本題に戻りますが、今年のヘルスキャンプの内容は――。

開催地は今話に出た南ネパールの「ルンビニ」です。期間は8月11日~20日までの10日間です。大雑把なスケジュールは、①8月11日深夜、日本出発(羽田発)②12日昼、カトマンズ着、国内線乗り換えで夕方ルンビニ着、ホテルへ③8月13~18日までの1週間、ヘルスキャンプ。ただし日本人鍼灸師は6日目終了後国内線でカトマンズへ④18日夕刻ホテル着後、19日まで自由行動⑤ヘルスキャンプ終了後の帰国は自由で、医療機関見学や施設見学などの要望があれば紹介します。また、⑥そのまま帰国の途につく人は空港へお送りします。
 
 ヘルスキャンプの内容ですが、現地では、参加者は東洋療法(鍼灸・指圧)によ る巡回治療またはその補助を行います。参加費は、初参加者が16万円で、2回目以降の参加者は15万円です。日本―カトマンズ間のチケットは事務局指定の航空会社の便を取得していただき、コピーを事務局に送ってください。また、ヘルスキャンプ終了後、2週間以内に感想文を事務局へ送ることが条件になります。

―― 参加資格はありますか。

心身共に健康で満18歳以上の方で、鍼灸あマ指師、薬剤師、看護師、理学療法士等医療系国家資格取得者を優先させていただきます。学生については推薦者がいればOKですが、あくまで有資格者の先生方の助手、アシスタントとしての活動になります。

―― 応募したい人はどうすればいいのですか?

よもぎの会事務局あて(yomogi-staff@ml.yomoginokai.namaste.jp)にメールで応募してください。住所、氏名、年齢、職業(学生の場合は学校名・学年・推薦者名、医療従事者の場合は就業年数)、メールアドレス、携帯電話番号(電話に出れる時間帯を明記)を書いて送ってください。

今年が最後のヘルスキャンプ
ぜひ参加してこれからの人生の糧にしよう

―― ところで、風のうわさに聞いたところ、今回のヘルスキャンプが最後になるとか。

そうなんです。20年近くやってきましたが、今回を最後にしようと思っています。

―― その理由は?
 

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