週刊あはきワールド 2016年5月18日号 No.474

全力で治す東西両医療 第3回

バイタルサインは生きているサイン(1)

~89歳女性のケースから考えてみよう~

ともともクリニック院長 木村朗子(対談:石川家明) 


◎第2回 ともに患者を診て、学んで、考えること(木村朗子、対談:石川家明)
◎プロローグ(2) 「全力で治す東西両医療」連載にあたって
           ~東洋医学と西洋医学は対立するか~(木村朗子)
◎プロローグ(1) 「全力で治す東西両医療」連載にあたって
           ~かわいそうな鍼灸師のために~(石川家明)
 
 前回は、よい医療者になるために臨床研修がどれほど大切かについて述べた。2025年問題を抱えた日本社会において、すべての医療者がより責任の大きい職務を担うことになるのは想像に難くない。世界でどの国もかつて経験したことのない超高齢者社会を新しい福祉国家として乗り切るのか、はたまた悲しい格差社会を露呈するのか、その責任を福祉とともに医療は背負っているのである。

 これからのプライマリケアの一端を担う医療者になるために、また他職種連携をするために、必須の共通言語と言ってもよいバイタルサインについて、これから数回にわたり一緒に学習していきたい。

バイタルサインは生きているサイン

 やなせたかしさん作詞の「手のひらを太陽に」は皆さんご存知かと思う。バイタルサインをお話するときに、私はいつもこの詩を思い出す。「手のひらを太陽に すかしてみれば 真っ赤に流れる ぼくの血潮」。この血潮が流れるために、からだの仕組みは実に巧妙に作られているのだ。多少外気温が熱くても、汗をかき体温は一定に保たれるし、多少寒くても、からだを震わせて熱を生み体温は一定に保たれる。少しくらい飲水が少なくても、尿を少なく抑えることで血圧は一定に保たれる。走れば脈拍と呼吸数が上がって、酸素不足を補おうとする。あなたを生かすためにあなたのからだのなかでは様々な仕組みがそれぞれを「一定に保つ」ために働いている。

 バイタルサインは人間が生きているかどうかを示す基本的な徴候である。具体的には体温、脈拍、呼吸、血圧、意識の5種類で示される。しかし、この5つがばらばらにあるわけではない。体の各器官が生きていくために(特に重要な器官である、脳、心臓、腎臓、に有効な血液循環を保つために)、どのように働き、連携し、相互に調節し合っているかを分析していくための道具である。5つが絡み合い、ひとりの体の中で生きるための仕組みがどう働いてどの段階にいるのか、総合的に判断していく。加えて、重要なことは、この5つを測定することについて、学習をすれば誰でも正確に習得することができる点である。だからこそ、初めて会った医療者とも同じ言葉で情報交換できる。病態把握に役立ち、医療連携にも使える、こんなにいい道具を学ばない手はないのだ。

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