週刊あはきワールド 2016年5月18日号 No.474

マッスル鍼法へのいざない5

両手刺手管鍼法を知る その5

~学会発表で得た三つの収穫~

あんしん堂鍼灸院院長 宮村健二 


 

〔学会発表は勉強になった〕

 筑波技術短期大学時代に助教授として同僚であった坂井友実さんは、現在東京有明医療大学大学院の教授となっておられます。その坂井教授から、「『マッスル鍼法』の出版おめでとう。でも技術の普及を図るのだったら、学会発表もやった方が良いよ」という貴重なアドバイスをいただきました。20数年ぶりの学会発表で苦労しましたが、坂井教授の支援を受けて、3月13日、日本東洋医学系物理療法学会第41回学術大会で、「両手刺手管鍼法(仮称)による刺鍼法の構築(第1報)」と題する発表を無事に終えることができました。感謝です。

 学会発表を終えてみて、筆者の手元に三つの大きな収穫が残りました。簡素化と具体化と論理化です。

 発表はわずか7分でした。この短い時間内で、八つの作業工程を聞き手に分かるように説明することは不可能です。そこで、両手刺手管鍼法のアウトラインを知ってもらうためにどうしても必要な4工程をピックアップし、残りの4工程は将来アウトラインを補強するチャンス到来まで棚上げすることとしました。とにもかくにもピックアップした4工程で乗り切ることとしたのです。これが簡素化です。

 やってみて、大成功だったと思います。初めて両手刺手管鍼法の話を聞く人にとって、8工程は多くて取り付きにくい、4工程は覚えやすいということがよく分かりました。今回カットしたのは、斜刺の角度の取り方、壁寄せの仕方、預管の仕方などです。これらはいつでも補強できるなと感じています。

 次は、具体化です。本『マッスル鍼法』の原稿を書くときも留意した具体化ですが、上刺手・下刺手の動きを具体的に伝えることの大切さを改めて痛感しました。とはいえ、わずか7分という短い時間ではとても果たせませんでした。そこで、学会雑誌に投稿する段階でぜひともこれを果たしたいと考えています。

 最後は、論理化です。前述のとおり、発表の内容はこれを論文にまとめて学会雑誌に投稿することとなります。論文の命は正しい論理性です。

 仮説を立てる、仮説に基づいて実験や調査などを進める、結果を把握する、結果を考察し結論を導く、これが研究活動のオーソドックスなプロセスです。

 この連載では、両手刺手管鍼法を知るということで、1月から4月まで4回に亘って紹介してきましたが、8000字以内という制限の中で構想している論文の素案1本で、その骨格を伝えられるのではないかと期待しています。以下に現在構想している論文の素案を掲載しますので、分かりやすいか、致命的な書き落としはないか、この2点を意識しつつ、読み解いてみてください。5月22日開催の第2回実技セミナーでは、この論文素案に従って技術伝達を行います。成功するだろうと期待しています。 

〔両手刺手管鍼法の開発を紹介する論文素案〕

Ⅰ.緒言
 筆者は、ひずみのない自然体の組織に、鍼によるひずみを小さく抑えた刺鍼を施すことにより、患者さんに優しい低ノイズの鍼が可能という仮説をもっている。ここでいうノイズは、刺痛や押し込み感など、無用の施術感覚を意味する。
 仮説に沿う実技の開発を目的として研究を進めた結果、押手をしないで両手を刺手とする両手刺手管鍼法(仮称)を案出したので報告する。

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