週刊あはきワールド 2016年5月25日号 No.475

【熊本地震】鍼灸マッサージボランティア・レポート その2

災害ボランティア 2

災プロ代表・AMDA熊本地震災害緊急医療支援活動派遣鍼灸師 三輪正敬 


◎【熊本地震】鍼灸マッサージボランティア・レポート その1 災害ボランティア 1
 
 熊本地震の発災と本震から1カ月となる節目の両日を、2度目のAMDA活動の中、熊本県益城町で過ごしました。5月17日昼前、帰路に着いた飛行機の機内から、町が青く見えるほど多くの家々の屋根を覆うブルーシートが目に入り、避難所で治療させていただいた方々の口から洩れたものと同じような辛苦が、こんなにも広い範囲に及んでいることをあらためて思いました。

 5月11日の原稿で「災害ボランティア」について私見を書かせていただきましたが、もう少し続けたいと思います。

被災地支援は掛け算である

 私は、被災地支援は掛け算だと考えています。どんなにプラスのことが多くても、マイナスが一つあると、掛ければマイナスになってしまう。マイナスが一つもない場合、つまりゼロならば、掛ければゼロ。活動終了後、まるでそこに無かったかのようにきれいに立ち去る、素晴らしい活動です。

 ボランティアは、あった方が良いけれど、もともと現地には無くて当たり前だったもの。だからこそ非常に壊れやすく繊細なものであり、常に被災地、被災者を中心とした思考や行動が求められます。

 前稿で、私たち鍼灸マッサージは医療に属するボランティアだからこそ、私たちが帰宅した後の患者さんの避難生活のフォローまで考えることが必要であり、例えば血圧を測って保健師さんへ伝えつつフォローをお願いしたり、カルテを書いて後任を置く体制を整えること、できれば単発ではなく繰り返し現地入りすることなどをお勧めました。

 災プロでは普段血圧を測ることのない参加者にも測定をお願いしていますが、これは「被災地を中心」に考えているからであり、自分の普段のやり方に固執せず、周囲の状況に対して柔軟に対応できるかどうかが、良い支援となりうるかどうかの分かれ目です。

 これは具体的な治療でも同じです。

治療も「被災地を中心」に考える

 例えば避難所内や屋外など、パーテーションのない場所での治療は、周囲から見えるため、うまくタオルをかけてあげる必要があります。参考までに、災プロが常総市において、避難所内に設営した治療ブースの写真を再掲しますが、どんな場所の活動でも必ず個室や間仕切りを作ることが理想です。


何もない空間に治療スペースを作る


血圧計と、地元の治療院案内(左)と受付風景(右)




















 また、普段自分の治療院で声の元気な施術者は、避難所治療の場合、患者さんの体調について、他の避難者に聞こえないよう小声で話す配慮も必要でしょう。

 愛煙家の施術者は、被災地ではできるだけ喫煙を控えることをお勧めします。初めて治療する方ばかりの被災地で、患者さんが嫌煙家でないとは限りません。喫煙の後に治療にあたる場合、マスク着用などの配慮が求められるでしょう。

 ご自身の技術に過度な自信を持っていらっしゃる場合、とかく症状の改善を深追いしがちとなる傾向に陥ることもあるかもしれません。例えばワーファリンを服用している患者さんを治療した翌日に内出血が起きた場合、ご自身の治療院でしたら苦情の電話を受けるのはご自身ですし、「翌週またいらしてください」などとフォローできますが、ボランティアではその対応をするのは後任。単発ボランティアによる事故の場合、連絡先を残していなければ被害者は訴えることもできません。

 症状を除くことは大切ですが、被災地においては「悪くさせないこと」が優先です。語弊を恐れず極言すれば、症状に変化がなくとも構わないと私は考えています。

 AMDAの話に戻りますが、「支援物資ってさー、もらい過ぎても悪いけど、全然もらわなくても悪いんだよね」と、広安小学校避難所にいる12歳の子が話していました。

 私たちが入るのは、そのような生活のある、センシティブな場です。文章にすれば「被災された方々」と表現するしかありませんが、実際には、そのような一言では表現できない個々の人々が生活されている場所。

 「ただ治療して帰る」だけでも尊いことです。ただ、自分が何をしたいかは横に置いておき、どこまで「ただ被災地のために」考え、広い視野で動くことができるかが求められているといつも感じさせられます。

地元中心の丁寧な支援を


地元の先生方を交えたミーティング
 「Local initiative」を掲げるAMDAでは、その理念を体現するように、熊本の鍼灸師の先生方と派遣者らでのミーティングが開かれていました(写真)。ボランティア派遣が終了した後には、熊本の鍼灸師の方々がAMDA熊本鍼灸チームとして支援活動を継続されるそうです。私も派遣していただき、微力ながらAMDAと関わらせていただいたことに感謝するとともに、優しく力強い熊本の先生方を心から応援しています。

 西原村での活動の始まった災害鍼灸マッサージプロジェクトでも同じく、素晴らしい仲間たちとともに、これまで通り、地元中心の丁寧な支援を行って参りたいと思います。

 1カ月半が経ってもなお、不自由な暮らしを続けていらっしゃる方々に、早く安心した日常の戻ることを祈りつつ。
 
第3回「超楽トランスファーテクニック」セミナー
2016年6月開催
日時 2016年6月18日(土)15時~19時
内容 誰でもできるトランスファーテクニック』をテキストにして安全に楽に移動させられる「トランスファーテクニック」の実技習得を目指す
講師 西村久代(株式会社訪問リハビリ研究センター代表取締役)
会場 東京都内
詳細 http://www.human-world.co.jp/seminer/seminer068.html
 
第14回あはき師のための変形徒手矯正術セミナー
2016年6月開催
日時 2016年6月19日(日)10時~16時
内容 AZP理論に基づく変形徒手矯正術』をテキストにして療養費(保険)取扱の基本事項から変形徒手矯正術の実技までを学ぶ
講師 西村久代(株式会社訪問リハビリ研究センター代表取締役)
会場 東京都内
詳細 http://www.human-world.co.jp/seminer/seminer069.html
 
第4回ダイエット・アロママッサージセミナー
2016年8月開催
日時 第1部:ボディーマッサージ入門
 2016年8月28日(日)9時45分~12時45分
第2部:フェイスマッサージ入門
 2016年8月28日(日)13時45分~16時45分
内容 写真で学ぶダイエット・アロママッサージ』をテキストにして、アロママッサージの基本テクニック+ダイエット効果大の技術を学ぶ
講師 実技:高邑佳世(あマ指師・メディカルサロンリヴィエール院長)
解説:金子智久(あマ指師・日本指圧専門学校専任講師)
会場 東京都内
詳細 http://www.human-world.co.jp/seminer/seminer070.html




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