週刊あはきワールド 2016年7月20日号 No.482

カラダの欲求と操体の私的解釈 第8回

橋本敬三が残した課題(3)

~同時相関相補連動性の性質を利用する~

 大隈博英 


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 今回はこれから、各種、操体法の方法を模索するにあたって、カラダの欲求を見極める具体的な手法(診断方法)を紹介しておきたいと思う。その方法とは、なんということはない、実は操体の基本思想の一つである、同時相関相補連動性を利用することである。

 改めて、同時相関相補連動性とは何かを振り返ってみると、実は、面白いことがわかる。同時相関相補連動性とは呼吸が変われば、動き(筋の緊張具合)も変わる、食事が変われば、動きも変わるといったように、息食動想のどれか一つが変われば、それと連動して、他の3つの要素も相互依存的に変化することをいう(注意:食は個人の趣向としての、食事内容が変わるわけではなく、カラダが求める食事内容が変わるのである)。

 これは要は、キネシオロジーそのものといっても良いと思うほど、酷似した考えである。私達は筋肉という介在を経て、運動療法、呼吸法、食事療法、心理療法など、それぞれ、個別のアプローチから、カラダにアクセスしても、他のカラダの状態(動作、呼吸、心理状態、栄養状態)も連動して、相互に影響を与える現象が起きる。それを利用して、主に医学的診断として生み出されたのがキネシオロジー(AK)である。しかし、実はこれはジョージグッドハート(AKの創始者のD.C.)が医学として体系化しだだけであって、私達は日常的に体験しているのである。

 例えば、

人前で喋るときにあがってしまったが、深呼吸すると落ち着いた(呼吸法->心理状態の変化)

ムシャクシャすることがあったので、激しい運動をして、ストレスを発散した(運動療法⇒心理状態の変化)

人に悩み事を聞いてもらうと、胃の痛みが減少した(心理療法⇒身体(ここは運動も呼吸も変化していると思われる)の状態の変化)

このようなことは日常的に自然と起こっている現象なのである。その現象をジョージグッドハートは意図して、診断・治療に使えるように、体系化したのである。

 キネシオロジーは、直接、筋肉の反応を見て、食事の内容や薬を決定したり、骨格矯正の仕方を調べたり、病気の原因を(筋肉を介在して深層心理に聞く)調べたり、逆に筋肉にアプローチすることで、心身のバランスを回復したりする技法であり、後に医学だけでなく、さまざまな分野に派生することになる。

 ちなみに、古代からフーチやダウンジング、我が国では神社などにある、おもかる石(願い事が叶う場合、軽く感じる)などがあるが、これも要はキネシオロジーと言ってよいと思う。人間の意識に、筋肉が微妙に反応するのを増幅する手段として、振り子や石を使って確認しやすくしているのである。

 操体も思想の段階で、すでにこの現象を見抜いていて、それを橋本は同時相関相補連動性という言葉で表現したのだと思う。

通常の操体法でも、同時相関相補連動性は起こっている

 実は通常の動きの操体法の段階でも、同時相関相補連動性の現象は見られる。例えば、動きの操体法で起きている現象を細かく見ていくと、操法時、タワメに入る寸前くらいから、呼吸が胸式⇒腹式へと変化しているのがわかるし、操法終了後もしばらく、この状態は続き、完全に終了した後も、始める前に比べると、浅い呼吸から、少し深い、ゆったりとした呼吸に変化していることがわかる。
 

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