あなた(@_@)の知らないあはきの世界 2022年6月15日

こらむ『タオ指圧キャラバン』 第3回 

トラウマの癒し

玉本三和(たまもと・みわ)


◎第2回 食道アカラシア(大森未久)
◎第1回 経絡“まさか”の現実(遠藤喨及)

<プロフィール>
 大学では仏文学を学び、当時からユング心理学、東洋哲学、キリスト教神秘主義等に関心を持つ。95年に渡仏、シュタイナー教育と人智学の芸術治療を学ぶ。99年からオランダ在住。日本で推拿療法、オランダで指圧を学ぶ。2006年から指圧治療院を開設、2012年からタオ指圧を学びつつ、施術に励むようになる。音楽、ガーデニングと猫をこよなく愛す。


筆者
 2年前からの不眠による慢性疲労を主訴として来診したKさん(69歳、女性)。
 ほかにも、膝痛や咳や鼻づまりがあった。また、10歳までの記憶がなく、さらに嗅覚の喪失は、20年来の症状だった。

 癒しの過程は、まるでパンドラの箱を開けたかのようだった。

 最初の施術後から、すぐに幼少期に受けた体罰や、性的暴力のトラウマ、さらには両親の戦争トラウマ(ドイツ人で、父親が戦争捕虜として強制収容所に)にも向き合うことになったのだ。

 タオ指圧の基本は、圧を通しての深い共感にある。
 私は、症状の奥にある、深い心の痛みや悲しみに共感し、その癒しのプロセスを共にして来た。

 彼女はこれまでの9カ月間で、14回施術を受けている。
 膝痛は1回、嗅覚は数回の施術で戻って来た。
 不眠と疲労は、まだ完治には至っていないものの、改善に向かいつつある。

 そして何よりも、彼女の意識が変わった。
 それまで彼女が、人生と世界に対して抱いていた恐れと不安が、深いところから、他者への信頼へと変わったのだ。

 彼女には何よりも、経絡のより奥の「存在の傷」とでもいうようなところからの癒しが必要だったのだ。

 彼女曰く、孤独と深い悲しみが、温かさ、癒しの体験へと変わったそうだ。「今まで、これほど誰かを信頼でき、自分は守られているという安心感を感じたことはなかった」とも……。

 ではここで、彼女自身に、タオ指圧の受療体験を語ってもらおう。
















<Kさんの体験談>

 最初に施術を受けた後、しばらくしてから、私の中に一人の女性のイメージが生まれました。

 それはまるで濃霧の中にいるように、何かぼやけた感じで、はっきりした像ではありませんでした。彼女はこちらを見つめ、じっと後ろの方で待っていました。

 そして、ほとんど無表情でした。でも、こちらを見てほしいという、深い想いを感じとることはできました。

 ……それが母だとわかるまで、数日かかりました。
 もっとも、その顔立ちは、母だとわかるようなものではありませんでしたが。

 そこには、人生に希望と願いを持った一人の女性がいました。
 彼女は、結婚し母となる幸せを感じていました。

 しかしやがて彼女を、失望、無力感、痛み、悲しみが襲いました。
 誰も彼女を助けませんでした。

 私は、彼女がいかに孤独を感じていたかを感じました。
 無力感に陥った彼女は、「良い母親」になることができませんでした。
 そして、自分を責めていました。

 彼女の人間としての大きな心の傷と痛みが、ありありと私の心に映りました。
 そんな母を私は心から受け入れました。
 それは私に、深い癒しをもたらしました。

 そして突然、私の中にあったトラウマを受けたことによる被害者意識が消えてしまいました。

 私は、共感と穏やかな気持ちで、彼女を見つめることができました。
 幼少期頃から抱えて来た心の痛みは、もう感じなくなっていました。

 今も子供の頃の痛みの記憶はあります。
 しかし、被害者意識を抱いていた私はもういません。
 そして、この記憶を誰かに投影して、怒りを向けることはありません。

◎タオ指圧WEBサイト≫≫ http://taoshiatsu.com

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