週刊 あはきワールド 2007年11月7日号 No.58

テーマは“人間をまるごととらえ、治す技
-世界に発信、日本の鍼灸-”

第35回日本伝統鍼灸学会学術大会開催される


日本伝統鍼灸学会(首藤傳明会長)の第35回学術大会が10月27、 28の両日、北海道札幌市の札幌サンプラザで、約700人の参加者を集めて開催された。「人間をまるごととらえ、治す技-世界に発信、日本の鍼灸」をテーマに、1日目は会頭講演、テーマシンポジウムなど、2日目には特別発表、会長講演、特別講演、実技供覧などが行われた。


   会頭講演・下田憲氏
 会頭講演は、北海道空知郡南富良野町で「けん三のことば館クリニック」を開業している下田憲氏が「治す者であれ 癒す者となれ」と題して講演した。スライドを一切使わず、「西洋医学は病を治すのか」「漢方薬なら病を治すのか」「鍼灸は病を治すのか」「そもそも治すとはどういうことなのか」と聴衆に問いかけ、その答えとして「西洋医学も漢方薬も鍼灸も病を治すのではない」「治るのは本人の力、治せないのは術者の限界」という持論を展開。「われわれにできることは“治る力を取り戻すお手伝いをさせて下さい”というだけ」と語るなど、自然治癒力をいかに働かせるかを中心に話は進んだ。


テーマシンポジウム「世界の鍼灸教育の現状と日本伝統鍼
灸の課題」のシンポジスト。左上:兵頭明氏、右上:形井秀一
氏、左下:篠原昭二氏、右下:島田力氏
 「世界の鍼灸教育の現状と日本伝統鍼灸の課題」をテーマに討論されたテーマシンポジウムでは、兵頭明(学校法人後藤学園中医学研究部長)、篠原昭二(明治鍼灸大学教授)、島田力(長谷柳医療福祉専門学校)の三氏と、座長も兼ねる形井秀一氏(筑波技術大学教授)がシンポジストとして登壇。まず、兵頭氏が中国、形井氏が韓国と米国、篠原氏が日本の大学、島田氏が日本の専門学校の、それぞれの教育制度についてレポートしたあと、シンポジスト間の討論やフロアを交えての意見交換・討論が行われた。


写真上から、特別発表・松田
博公氏、会長講演・首藤傳明
氏、特別講演・本間行彦氏
 特別発表では、本誌で「まつだひろきみの鍼灸できょうも元気」を連載している鍼灸ジャーナリストの松田博公氏が登場。10月20~22日まで開催された世界鍼灸学会連合会(WFAS)20周年記念学術大会で 見聞したホットな話題を紹介しながら、「もし柳谷素霊が同大会を傍聴していたらどう思ったか」、さらには「日本鍼灸界の課題は?」について熱く語った(詳細は本号の「まつだひろきみの鍼灸できょうも元気」を参照)。

 超浅刺で有名な首藤傳明氏による会長講演の演題は「鍼灸の名人は左手を使うの説」。首藤氏は、「気至る」感覚を左手に感じるという説に対し、右手にこそ感じるのではないか、とずうっと疑問を抱いていたことを打ち明け、左手首を骨折した際に右手だけで治療を行っていたときの体験を交えながら、左右のどちらが真実なのか、に迫った。

 特別講演では、北海道大学名誉教授で北海道漢方医学センター・北大前クリニック院長の本間行彦氏が「宇宙の進化と生命」と題して講演。宇宙と生命という視野から解説をしながら、「疾病とは何か」「疾病の治療・予防には何が重要かを述べた。


   実技供覧で実技を披露する吉川正子氏(左)と石原克己氏(右)
 大会2日目の最後にプログラムされた実技供覧は圧巻だった。伝統鍼灸を代表する9つの会派から、丸山治(東方会)、小林詔司(積聚会)、佐藤諒崇(北海道漢方鍼汪会)、石原克己(東京九鍼研究会)、吉川正子(中医鍼灸研究会)、中田光亮(東洋はり医学会)、馬場道敬(経絡治療学会)、藤本彰宣(北辰会)の各氏が3会場に分かれて、自慢の実技を表演した。

日本伝統鍼灸学会のHPはこちら: http://jtams.com/

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