週刊 あはきワールド 2011年6月22・29日合併号 No.238

日本鍼灸に関する東京宣言2011 採択

2011鍼灸学術大会 in 東京開催される


「日本鍼灸に関する東京宣言2011」採択後に笑顔
で握手を交わす後藤修司氏(左、全日本鍼灸学会
会長)と形井秀一氏(右、日本伝統鍼灸学会会長)     

「新たなる医療へ―心と身体をみつめる日本鍼灸の叡智―」をテーマにした2011鍼灸学術大会 in 東京(社団法人全日本鍼灸学会第60回学術大会共催日本伝統鍼灸学会第39回学術大会)が6月19日、東京都江東区の東京有明医療大学で開催され、注目の「日本鍼灸に関する東京宣言2011―21世紀における日本及び世界のより良い医療に貢献するために―」が採択された。大会では、「東京宣言」採択に向けたシンポジウムや会頭講演、特別講演などが行われた。



シンポジウム趣旨説明を行う
東郷俊宏氏

まず開会式の直後に行われたシンポジウム趣旨説明では、東郷俊宏氏(東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科准教授)が登壇。「鍼灸領域における国内外の標準化の現況―国民への説明責任をはたすために―」と題して、WHOやISOといった国際機関における鍼灸を巡る動きについて概観し、それら国際的な動きと直結する国内的な問題にも言及した。



シンポジウム①「心と身体をみつめる日本鍼灸の叡智」のシンポ
ジスト。上段:篠原昭二氏(左)と福田文彦氏(右)、下段:小川卓
良氏(左)と山下仁氏(右)
 シンポジウム①「心と身体をみつめる日本鍼灸の叡智」では、山口智氏(埼玉医科大学東洋医学センター講師)と坂本歩氏(学校法人呉竹学園理事長)の司会のもと、篠原昭二(明治国際医療大学伝統鍼灸学教室教授)、福田文彦(明治国際医療大学臨床鍼灸学教室准教授)、小川卓良(東京衛生学園専門学校臨床教育専攻科講師)、山下仁(森ノ宮医療大学大学院保健医療学研究科教授)の4氏がシンポジストを務めた。


 このシンポジウムは「東京宣言」採択に向けて企画されたもので、①日本鍼灸の歴史②現状分析③将来と課題の3つのテーマについて展開。①日本鍼灸の歴史については、篠原氏が「戦後の日本鍼灸の特質(戦後の歴史と教育、制度)」と題して、戦後の日本鍼灸の歩みを振り返った。②現状分析については、福田氏が研究面から、小川氏が臨床面から、それぞれ日本鍼灸の特質を分析した。③将来と課題については、山下氏が①日本鍼灸の歴史と②現状分析を踏まえて、研究面、臨床面、教育面の課題などについて解説した。

 シンポジウム②のテーマは「「治未病」の過去・現在・そしてこれから」。石原克己(東明堂石原鍼灸院院長)の司会のもと、浦山久嗣(赤門鍼灸柔整専門学校 東洋療法教育専攻科専任教員)、戸ヶ崎正男(蓬治療所所長)、鳥谷部創治(港町診療所附属鍼灸院院長)の3氏がシンポジストを務めた。

シンポジウム②「「治未病」の過去・現在・そしてこれから」のシンポジスト。左から浦山久嗣、鳥谷部
創治、戸ヶ崎正男の各氏











会頭講演をする久光正氏
 会頭講演では、2011鍼灸学術大会in東京の会頭を務めた久光正氏(昭和大学医学部第一生理学教室主任教授)が登壇。「日本の伝統医学を世界に発信しよう」をテーマに講演した。






特別講演をする矢野忠氏
 特別講演のテーマは「日本鍼灸に関する東京宣言―21世紀における日本および世界のよりよい医療に貢献するために―」。演者の矢野忠氏(明治国際医療大学健康・予防鍼灸学教室教授)は日本鍼灸の歴史的な展開を江戸期までと明治以降とに分けて俯瞰し、日本鍼灸の特質を探るとともに現代の日本の鍼灸を形作ってきた教育制度、研究の系譜についても併せて見つめ直し、その特性と問題点を探った。また、これらの知見を踏まえてこれから日本の鍼灸が進むべき方向と将来の形を展望するなどして、東京宣言を起草するうえで、その基盤となる視点と概要について発表を行った。


東京宣言について説明する
形井秀一氏

宣言文を読み上げる後藤修司氏
 そして大会の最後を締めくくるメインイベント「日本鍼灸に関する東京宣言 採択」では、まず形井秀一氏(日本伝統鍼灸学会会長)が登壇。東京宣言の目的および対象について触れ、「本宣言は日本鍼灸の歴史的変遷を踏まえ、その独自性について現状分析するとともに、鍼灸が健康に寄与する医学、医療として、発展することを期して策定されたものである」とし、「本宣言は日本及び諸外国の政府、鍼灸の関連学術団体、関連業団体をはじめ、全ての人々に向けて発せられる」と述べた。さらに、延べ7回開催された起草委員会の活動内容についても説明し、そのあと宣言文を読み上げる後藤修司氏(社団法人全日本鍼灸学会会長)へバトンタッチ。後藤氏は6項目からなる次の宣言文を読み上げた。



(1) 鍼灸に関する最新の知見を医学界及び国民に向けて広く発信し、鍼灸への正しい理解と適正な医学的評価を得ることに努める。

(2) 鍼灸の臨床効果を立証するために相応しい研究デザインを確立し、世界の鍼灸臨床の有効性と安全性に関する研究の発展のために貢献する。

(3)日本の伝統医学である鍼灸を医療システムにおいて適切に位置づけることに努める。

(4) 鍼灸は日本の貴重な文化的遺産の一つであることの理解を深め、さらにその普及に努める。

(5) 日本鍼灸と世界各国の鍼灸との交流を推進し、各国鍼灸に対する相互理解を深め、その特色を尊重し、世界における鍼灸の多様性の維持・継承と発展に努める。

(6) 心と身体をトータルにみつめる鍼灸医療を通して、これまで以上に人々の健康保持増進、疾病予防及び治療に寄与することに努める。

 なお、「日本鍼灸に関する東京宣言2011―21世紀における日本及び世界のより良い医療に貢献するために―」の詳しい内容については、全日本鍼灸学会のホームページに掲載されている。

◎全日本鍼灸学会のHP≫≫ http://jsam.jp/



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