すぐ使える
若葉マークのための鍼灸臨床指針
~臓腑病、経脈病、経筋病の診察法と治療法~
著者:篠原昭二・和辻直
定価:3,850円(本体3,500円+税)
判型:B5
頁数:179頁
発行:2017年3月
ISBN978-4-903699-61-5
本の紹介
鍼灸学校(大学)で、現代的病態把握、経絡治療、中医学といった鍼灸診断・治療システムを独立して教育しても、限られた教育年限ではマスターすることは困難であり、ほとんどの学生は消化不良のまま卒業していく。著者は、その現実を目の当たりにし、「現代的病態把握や経絡治療、中医学のベースとなる鍼灸臨床のコアの部分をいかに効率的に理解させるかが重要である」と考えるに至った。
そして、研究を重ね、初学者のための新しい鍼灸臨床指針としてまとめ上げたのが、本書で紹介する「臓腑病、経脈病、経筋病の診断法と治療法」である。
臓腑の異常がわかれば、中医弁証の根幹をなす臓腑弁証の理解がしやすくなる。愁訴が気象や情動に影響されるとともに、臓器の固有症候(内臓器官系愁訴)を伴っていれば、背景に臓腑病があることがわかる。
経脈の異常がわかれば、経絡治療の理解が深まる。愁訴が特定の経脈上に出現しやすいことから、経脈病の異常の有無も流注さえ理解していれば、正確にツボが取穴できなくても診断は容易にできる。
経筋病の判断ができれば、現代的病態把握の理解を深めることができる。体を動かしたときに感じる動作時痛があれば、経筋病があることがわかる。
「臓腑病」と「経脈病」と「経筋病」。この3つの原則を忘れなければ診断と治療はとても簡便に行えるし、卒業後すぐにでも臨床に生かすことが可能である。一朝一夕には成就しない鍼灸臨床の壁に弾き返され、鍼灸臨床の基礎力をUPできずにいる鍼灸学生や若葉マークのビギナー鍼灸師には特に、活用してもらいたい1冊である。
●関連記事1(週刊あはきワールド 2017年3月8日号 No.513)
『すぐ使える 若葉マークのための鍼灸臨床指針』へのいざない 上
40年に及ぶ鍼灸教育の経験から構築した
若葉マークが失敗しないための鍼灸臨床ガイドブック
『すぐ使える 若葉マークのための鍼灸臨床指針』の「まえがき」より/篠原昭二
●関連記事2(週刊あはきワールド 2017年3月15日号 No.514)
『すぐ使える 若葉マークのための鍼灸臨床指針』へのいざない 下
臓腑病? 経脈病? 経筋病? の判断ができれば、
鍼灸臨床力がグンとUPする!
『すぐ使える 若葉マークのための鍼灸臨床指針』の「あとがき」より/篠原昭二
目次
<第1部> 基礎篇
<第1章> 日本の鍼灸臨床方式は多様である
1−1 現代的病態把握に基づく鍼灸臨床
1−2 伝統鍼灸における鍼灸臨床
1−3 中医鍼灸における鍼灸臨床
<第2章> 整体観と愁訴
2−1 東洋医学的な整体観
2−2 臓腑経絡学説に基づく鍼灸臨床
2−3 まとめ
<第3章> 新しい経絡病証体系(仮説)
3−1 新しい経絡病証体系(仮説)の構築
3−2 手太陰肺経
3−3 手陽明大腸経
3−4 足陽明胃経
3−5 足太陰脾経
3−6 手少陰心経
3−7 手太陽小腸経
3−8 足太陽膀胱経
3−9 足少陰腎経
3−10 手厥陰心包経
3−11 手少陽三焦経
3−12 足少陽胆経
3−13 足厥陰肝経
<第4章> 鍼灸医学の四診法
4−1 診察の目的は、臓腑病、経脈病、経筋病、外感病を
判断すること
4−2 望診…臓腑の異常を判断する
4−3 聞診:臭覚(臭診)、聴覚(声診)…臓腑の虚実、寒熱を
見る
4−4 問診:医療面接…臓腑、経脈、経筋の異常を判断する
4−5 切診
<第2部> 臨床篇
<第5章> 頚肩上肢痛の診断と治療
5−1 頚肩上肢痛の適応の判定
5−2 頚肩上肢痛の適応となる病態に対する鍼灸治療
5−3 臓腑病による頚肩上肢痛の診断と治療
5−4 経脈病証による頚肩上肢痛の診断と治療
5−5 経筋病による頚肩上肢痛の診断と治療
5−6 外感病による頚部痛の診断と治療
<第6章> 寝違いの診断と治療
6−1 寝違いに対する治療のコツ
6−2 寝違いに対する経筋治療
<第7章> むち打ち症の診断と治療
7−1 むち打ち症に対する治療のコツ
7−2 むち打ち症に対する治療の補足
<第8章> 胸郭出口症候群の診断と治療
8−1 胸郭出口症候群に対する治療のコツ
8−2 斜角筋症候群に対する治療のコツ
8−3 過外転症候群(小胸筋症候群)に対する治療のコツ
8−4 肋鎖症候群に対する治療のコツ
8−5 頚肋症候群に対する治療のコツ
<第9章> 肩こりの診断と治療
9−2 肩こりと関連する臓腑
9−3 気滞型の肩こり
9−4 気虚隠痛型の肩こり
9−5 脾虚湿痰型の肩こり
9−6 血瘀型の肩こり
9−7 経筋型の肩こり
9−8 後頚部の肩こり
<第10章> 肩関節痛の診断と治療
10−1 肩関節痛の診方
10−2 肩関節痛の適応となる病態に対する鍼灸治療
10−3 臓腑病による肩関節痛の診断と治療
10−4 経脈病証による肩関節痛の診断と治療
10−5 経筋病による肩関節痛の診断と治療
<第11章> 肘関節痛の診断と治療
11−1 肘関節痛の適応となる病態に対する鍼灸治療
11−2 臓腑病による肘関節痛の診断と治療
11−3 経脈病証による肘関節痛の診断と治療
11−4 経筋病による肘関節痛の診断と治療
<第12章> 手関節から手指の痛みの診断と治療
12−1 手関節から手指の痛みの適応となる病態に対する
鍼灸治療
12−2 臓腑病による手関節から手指の痛みの診断と治療
12−3 経脈病証による手関節から手指の痛みの診断と治療
12−4 経筋病による手関節から手指の痛みの診断と治療
<第13章> 筋・筋膜性腰痛の診断と治療
13−1 腰痛の診方
13−2 筋・筋膜性腰痛の診断と治療
<第14章> 腰椎椎間関節捻挫の診断と治療
14−1 腰椎椎間関節捻挫(腰椎捻挫または腰部捻挫)の
診断と治療
<第15章> 椎間板症や椎体に起因する腰痛の診断と治療
15−1 椎間板症や椎体に起因する腰痛の診断と治療
<第16章> いわゆる腰痛症の診断と治療
16−1 いわゆる腰痛症の診断と治療
16−2 腰痛の適応となる病態に対する鍼灸治療
16−3 臓腑病による腰痛の診断と治療
16−4 経脈・経筋病証による腰痛の診断と治療
<第17章> 殿部痛の診断と治療
17−1 殿部痛の診方
17−2 殿部痛の現代的病態把握と鍼治療
17−3 殿部痛の経脈・経筋治療
<第18章> 下肢痛の診断と治療
18−1 下肢痛の診方
18−2 下肢痛の経脈・経筋病治療
<第19章> 股関節痛の診断と治療
19−1 股関節痛の診方
19−2 股関節痛の現代的病態
19−3 股関節痛の経脈・経筋治療
<第20章> 膝関節痛の診断と治療
20−1 膝関節痛の診方
20−2 膝関節痛の適応となる病態に対する鍼灸治療
20−3 臓腑病による膝関節痛の診断と治療
20−4 経脈・経筋病証による膝関節痛の診断と治療
<第21章> 足関節痛の診断と治療
21−1 足関節痛の診方
21−2 足関節痛の診断と治療
<第22章> 風邪と呼吸器系愁訴の診断と治療
22−1 現代医学的概要と鑑別
22−2 感冒の適応となる病態に対する鍼灸治療
22−3 外感病による感冒の診断と治療
22−4 臓腑病や気血津液の病などによる感冒の診断と治療
22−5 経脈病証による感冒の診断と治療
22−6 感冒による経筋病の診断と治療
<第23章> 消化器系愁訴(機能性ディスペプシア)の診断と治療
23−1 現代医学的概要
23−2 FDの適応となる病態に対する鍼灸治療
23−3 臓腑病によるFDの診断と治療
23−4 経脈病によるFDの診断と治療
<第24章> 冷え症の診断と治療
24−1 現代医学的概要と鑑別
24−2 冷え症の適応となる病態に対する鍼灸治療
24−3 臓腑病による冷え症の診断と治療
24−4 経脈病証による冷え症の診断と治療
24−5 冷え症による経筋病の診断と治療