ナラティブ霊枢
明解な現代語訳で鍼灸の原典を読み解く
訳者:名越礼子
定価:3,740円(本体3,400円+税)
判型:A5
頁数:273頁
発行:2017年7月
ISBN978-4-903699-63-9
本の紹介
これは研究書ではない、「ナラティブ」だ!
鍼灸のバイブル『霊枢』が読める! わかる! 使える!
いわゆる『黄帝内経』と総称される『素問』と『霊枢』は、鍼灸や漢方など東洋医学にかかわる人なら誰もが知っている東洋医学のバイブルである。特に『霊枢』はもともと『鍼経』と呼ばれていただけあって、経絡や鍼灸療法などについて詳しく書かれ、鍼灸家にとっては必読書といっても過言ではない。
ところがである。白文は無理でも、現代日本語訳でいいから、『霊枢』を全文読んだことがある鍼灸家はどれくらいいるだろうか。古典に興味のある者ならもちろん手にしたことはあるだろう。しかし、それ以外の鍼灸家や鍼灸学生にあってはさにあらず。鍼灸学校では有名なくだりを断片的に学ぶ程度で、その中身はほとんど教えない。「鍼灸のバイブル」と言われても、鍼灸学生にとっては見たことも読んだこともない代物なのだ。
いったい、これでいいのか! 周囲から「『霊枢』をわかりやすく翻訳してほしい」と懇願されていた訳者は一念発起した。もともと『霊枢』は読み物風に書かれている。だから本書では、注や解説はできるだけなくし、研究書風ではなく、わかりやすく、読み物風の『霊枢』を目指した。そして主題にその思いを込めた。
『霊枢』が「鍼灸のバイブル」なら、みんなでもっと『霊枢』を読もう。『霊枢』は理論的にはそれほど難しくないので、「ともかく読む」のだ!
●関連記事(週刊あはきワールド 2017年7月19日号 No.530)
『霊枢』 を読もう! 第1回
『霊枢』日本語訳について/名越礼子
目次
『霊枢』日本語訳について
黄帝素問霊枢経叙
☯九針十二原(9種の異なる針具、十二原穴) 第1
☯本輸(刺針の道理、五輸穴)第2
☯小針解(小針の運用) 第3
☯邪気臓腑病形(邪気による五臓六腑の損傷) 第4
☯根結(経気の始まりと帰結) 第5
☯寿夭剛柔(寿命と体質) 第6
☯官針(規定の針具と針法) 第7
☯本神(人体の精神活動) 第8
☯終始(経脈循環の規則) 第9
☯経脈(十二経脈の循行) 第10
☯経別(経脈の内外出入) 第11
☯経水(十二経脈と十二河川の相応) 第12
☯経筋(経脈の筋肉系統と火針) 第13
☯骨度(体表の測定) 第14
☯五十営(経気周回50周) 第15
☯営気(営気の循行) 第16
☯脈度(経脈の全長) 第17
☯営衛生会(営気と衛気の働き) 第18
☯四時気(四季の気候と疾病) 第19
☯五邪(五臓の病邪) 第20
☯寒熱病(寒熱病の治療) 第21
☯癲狂(精神疾患) 第22
☯熱病(熱病の症状、診断、治療) 第23
☯厥病(気の上逆の病症) 第24
☯病本(病の本と標) 第25
☯雑病(各種の病症) 第26
☯周痹(周痹と衆痹) 第27
☯口問(奇邪による疾病) 第28
☯師伝(病人に対する心得) 第29
☯決気(精、気、津、液、血、脈の生成と機能) 第30
☯腸胃(各消化器官の計量) 第31
☯平人絶穀(各消化器官の収納量と生死) 第32
☯海論(人体の四海) 第33
☯五乱(順逆失調) 第34
☯脹論(脹病の発生、症状、診断、治療) 第35
☯五癃津液別(汗、尿、唾、涙、脳髄) 第36
☯五閲五使(五臓、五官、五色の関係) 第37
☯逆順肥痩(体質、体格によって異なる刺法) 第38
☯血絡論(血絡の瀉血) 第39
☯陰陽清濁(清気と濁気) 第40
☯陰陽系日月(天地日月の陰陽と人体への配合) 第41
☯病伝(病の伝変) 第42
☯淫邪発夢(夢の病理) 第43
☯順気一日分為四時(1日における病状の変化) 第44
☯外揣(外から内を推測する) 第45
☯五変(外来の病因と体質による防御) 第46
☯本臓(五臓六腑の状態から病を診断する) 第47
☯禁服(針灸治療の原則) 第48
☯五色(顔面部の色沢) 第49
☯論勇(形体の強弱、勇敢と臆病) 第50
☯背兪(背兪穴と灸) 第51
☯衛気(営衛の働き、十二経脈の本と標) 第52
☯論痛(針灸治療の痛みに対する耐性) 第53
☯夭年(寿命の長短と体質) 第54
☯逆順(自然に順応する) 第55
☯五味(五味と五臓) 第56
☯水脹(水脹病と各種脹病) 第57
☯賊風(四時不正の気) 第58
☯衛気失常(衛気の運行失調) 第59
☯玉版(刺針の基本理念) 第60
☯五禁(刺針上の5つの禁忌) 第61
☯動腧(拍動する腧穴) 第62
☯五味論(五味の功罪) 第63
☯陰陽二十五人(五類型の人の特徴) 第64
☯五音五味(五音の分類、治療部位と養生) 第65
☯百病始生(外感内傷の病因、積の形成) 第66
☯行針(刺針の反応) 第67
☯上膈 (噎膈症) 第68
☯憂恚無言(失語症) 第69
☯寒熱(寒熱瘰癧) 第70
☯邪客(刺針の道理) 第71
☯通天(陰陽五類の人) 第72
☯官能(刺針の理論) 第73
☯論疾診尺(尺膚診) 第74
☯刺節真邪(五節五邪の刺針法則) 第75
☯衛気行(衛気の1昼夜50周) 第76
☯九宮八風(節気の移行と8方からの風) 第77
☯九針論(九針の原理、身形九野) 第78
☯歳露論(気象と病症) 第79
☯大惑論(高所の不安、健忘、睡眠異常) 第80
☯癰疽(癰疽の区別、成因) 第81
後記
