CD-Rの紹介
50歳を過ぎた元毎日新聞記者が3年間、鍼灸専門学校に通い、国家試験に合格。立派な免許証を手に入れたが、それは、何もできないペーパー鍼灸師が誕生した瞬間でもあった。
著者は今の鍼灸専門学校が「ライセンス販売業」でしかないという警告を事前に受けていた。3年間で学校に支払った授業料と教科書代は総額約500万円近いのに、何もできない。脈診はできない。ツボの虚実の識別もできない。取穴も怪しい。腹診も分からない。身体観察もどこをどう見るのか、よく分からない…。警告通り、「やっぱり」の結果となった。
鍼灸学校はおかしい――。卒業後、ジャーナリストの目で改めて思い出してみると、おかしな点がボロボロ出てくる。国家試験は基本的に「なるべく受験者全員に免許をあげましょう」という通過儀礼的な易しい試験なのに、学校は学生全員を合格させるスキルがない。スキルがないから、勉強に苦しむ学生にほとんど手を差し伸べられなかった。著者が通った学校以外にも、合格率が90%にも達していない学校がゴロゴロある。そのような学校では一体、どんな授業、試験対策をやっているのか。
学校の売りの一つだった「充実した臨床実習」もおかしい。テキストとして渡された通称「デバタ本」は特にひどい。複数の教師が「まとめて燃やしたくなる」「実際の臨床には何の役にも立たない」と酷評しているにもかかわらず、学生はその悪本を高いお金で買わされ、あまつさえ「学習」を強要された。
ほかにもおかしな点を挙げれば枚挙にいとまがない。詳しくはこのCD-ROMに譲るが、そもそも著者は批判の的になるかもしれない本書をなぜ書いたのか。それは自分が卒業した学校を貶めるためではない。著者は、「はじめに」の中でこう語っている。
「外の目にほとんどさらされる機会のない鍼灸学校の実態を、たとえ一校といえども外にさらしてやったという達成感が私の中にはある。母校をことさらに貶めることは本意ではないが、学校の体たらくによって切り捨てられた中途退学者や国試不合格者の顏を思い浮かべると、少なからず怒りも湧いてくる。
この記録が鍼灸教育に携わる方々の目に留まり、いささかなりとも鍼灸教育の改革に寄与することを願っている」
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※このCD-ROMは週刊『あはきワールド』に連載された「鍼灸学校ここがおかしい!~ペーパー鍼灸師からの苦言と提言」を1枚のCD-ROMにまとめたものです。