週刊あはきワールド 2016年9月28日号 No.491

【書籍紹介】 『心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門』を読む その1

エビデンスを「まなぶ」「つくる」

目白大学大学院心理学研究科教授 奈良雅之 


 
 「エビデンス」という言葉を聞いて、どのような印象を受けるだろうか。医療の領域において、エビデンスは科学的根拠などを意味する語として使用されている。現代医療において、エビデンスに基づく医療(Evidence-Based Medicine; EBM)の重要性は疑う余地がない。鍼灸領域においては、全日本鍼灸学会等がエビデンスに関する情報発信を担っているが、わたしたちが日々の臨床にエビデンスをどう活用するかということに資する情報は、案外少ないように感じる。

 今回紹介する『心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門』(原田隆之著、2015年、金剛出版)は、エビデンスが明らかとなっていない療法も数多く実施されている心理臨床領域において、臨床に携わる人がエビデンスに基づく実践(Evidence-Based Practice; EBP)を「まなぶ」「つくる」「つかう」ためのポイントが丁寧に書かれた書籍である。本書のなによりの特徴は、統計的な説明がほとんど出てこないこと、統計的な説明を要する箇所も例を挙げて言葉で記述している点で、文科系人間にとって真にありがたい一冊といえる。

 ここでは、本書の内容について2回にわたって紹介し、鍼灸領域への活用について考えてみたい。

1.EBMに関する誤解

 エビデンスに基づく医療(Evidence-Based Medicine; EBM)に関する誤解として、EBMが患者個人を無視してただ単にデータのみに重きを置くというような非人間的医療ではないのか、といった声を聞くことがある。

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