週刊あはきワールド 2016年10月19日号 No.494

全力で治す東西両医療 第8回

バイタルサイン簡単症例集(2)

~血圧の症例から考える その1~

山田整形外科・胃腸科・肛門科 鍼灸師 荒川和子 


◎第5回 バイタルサインは生きているサイン(3)
      ~鍼灸学生の疑問に答える~(荒川和子、対談:平岡・小泉・木村)
◎過去記事≫≫  もっと見る
 
 これまで、バイタルサインの臨床的意味を学び、前回は脈拍に注目したいくつかの症例をご紹介しました。後方医療機関に急いで送るものなのか、送らずに様子をみるのか、今回は血圧に注目して簡単な症例からご紹介したいと思います。

 患者さんから「血圧はこれだと低すぎないでしょうか?」や「このくらい高くてもこの年なら平気ですよね」と患者さんに言われることはありませんか? 何とはなしに「そうですねえ」と答えるのではなく、プロであるならば医療的にちゃんと答えてあげたいですね。今回はショックが代名詞でもある低血圧を一緒に考えてみましょう。

【座談会参加者】
平岡遼(鍼灸学生3年 鍼灸師予定)
木村朗子(ともともクリニック院長 医師)
石川家明(TOMOTOMO友と共に学ぶ東西両医学研修の会代表)

「血圧が低いのですが大丈夫でしょうか?」

平岡いきなり横道それ夫かもしれませんが…、一般の会話において低血圧というと、寝起きが悪い、元気が出ない、冷え性があるといったような本態性低血圧が思い浮かびますが、こういった症状に対して何か医療者としての対応はあるでしょうか?

荒川とてもいい質問ですね。低血圧で症状を有する場合は、二次性低血圧の可能性を考えて、原因疾患の検索をすると思います。持続性では自律神経失調によるものから、不整脈や心不全などの循環器疾患、甲状腺機能低下症などのホルモン異常、薬剤性などがあげられます。一過性では脱水、起立性低血圧、神経調節性失神(長時間立位保持や排便時のいきみなどでおこる迷走神経反射)等です。本態性低血圧でなく症候性低血圧であれば、その原因に応じた治療となるでしょう。

 私たちにできる治療としては、百会の灸はいいのではないでしょうか。自律神経失調の反応は督脈上に圧痛が出る方が多く、また百会にも反応が著明に認められます。頭頂部という人体の中で最も天に近い部位にあり、陽中の陽である百会に灸をすれば、陽気を持ち上げ、寝起きや冷えの改善、元気の回復にも効果が得られると思います。

平岡それは私たちにしかできない有効な方法ですね! 漢方薬も使用できますか?

木村もちろん、できます。このような本態性低血圧症の皆さんは、気虚、気血両虚の皆さんが多いですね。生活指導とともに、東洋医学がとても有効ですね。

荒川では、先日クリニックにいらっしゃった患者さんをみてみましょう。

<症例1>

Oさん 42歳 男性
主訴:低血圧


荒川会社の健康診断を受けた際、血圧が96/62mmHgであったため、上司から病院で診てもらうように促されて、ともともクリニックを受診した症例です。来院時のバイタルです。

《バイタル》
BP100/72mmHg、HR78/分、BT36.5℃、RR18/分、SpO2 98%


平岡バイタルを見るとSBP(収縮期血圧 Systolic Blood Pressure)が低く気になりますが、HR、BT、RR、SpO2は正常範囲内といえると思われるため、他になにか症状がないか気になります。上司に受診を勧められたことからも何かあるかもしれません。

荒川「血圧が低いのですが大丈夫でしょうか」という問いは、臨床でもよく聞かれる質問です。第5回の復習でもありますが、血圧が低い場合に除外しなければならないのは何だったでしょうか。

平岡ショックではないことを明らかにしないといけません。

荒川そうですね。ショックではない、と言うためには、その根拠が必要ですね。

平岡患者さんに何か質問をしたのですか?

荒川はい、気になる症状があるかどうか、患者さんに質問しました。Oさんは特に症状はありません。具体的にはどのような症状や徴候をチェックしましょうか?

(続きはログイン・ご購読後にお読みいただけます)

この記事の続きをお読みいただくためには、週刊『あはきワールド』(有料コンテンツ)のご購読手続きが必要です。

ご購読の申し込み ログイン(ご購読済みの方はこちら)




トップページにもどる