週刊あはきワールド 2016年10月26日号 No.495

書籍紹介 『心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門』を読む その2

エビデンスを「つかう」

目白大学大学院心理学研究科教授 奈良雅之 


 
 「エビデンス」という言葉は科学的根拠などを意味する語として使用されている。エビデンスに基づく医療(Evidence-Based Medicine; EBM)の重要性は現代医療において疑う余地がないといわれているが、鍼灸領域においてはどうだろうか。

 筆者の鍼灸臨床のアプローチの中核は、EBMとは程遠いものである。はたして、自分の治療スタイルを守りながら臨床にEBMを活用しようとすることは可能なのだろうか。

 今回紹介する「心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門」(原田隆之著、2015年、金剛出版)は、エビデンスが明らかとなっていない療法も数多く実施されている心理臨床領域において、臨床に携わる人がエビデンスに基づく実践(Evidence-Based Practice; EBP)を「まなぶ」「つくる」「つかう」ためのポイントが丁寧に書かれた書籍である。本書の何よりの特徴は、統計的な説明がほとんど出てこないこと、統計的な説明を要する箇所も例を挙げて言葉で記述している点で、文科系人間にとって真にありがたい一冊といえる。

 ここでは、本書の後半の内容であるエビデンスを「つかう」について紹介し、鍼灸領域への活用について考えてみたい。

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