週刊あはきワールド 2016年11月23・30日合併号 No.499

レポート

会派を越えた症例検討の意義

目白大学大学院心理学研究科教授 奈良雅之 


 
 わたしたち鍼灸師は、症例発表を行うことで、日々の臨床を振り返り、次の治療に生かすための糧を得ることができます。症例を発表することは、自分では気づかない臨床上の問題点を指摘してもらうことができるといった点で有用です。

 筆者は、所属する会派の研究会とは別に、1カ月に1回実施されている症例検討会に参加しています。参加メンバーは、様々な会派に属する人たちで構成されており、アプローチも一様ではありません。

 そのため、症例発表における治療方針決定のプロセスや治療内容、治療経過などの説明に関しては、共通に理解されうるような言葉が使われていて、臨床経験が少ない鍼灸師にとっても、わかりやすいのが特徴です。

 また、会派独特の用語には解説が加えられることから、他の会派の治療法などの理解が促されるメリットもあります。検討会は、守られた空間の中、共感的な雰囲気の中でなされ、結果よりもプロセスに視点を置いた意見交換の場となっています。

 今回は、筆者が参加している会派を越えた症例検討会について紹介します。

1.症例検討会の枠組み

 症例検討会は、あはき心理学研究会の活動として、1カ月に1回の頻度で実施されています。ここでの患者情報は匿名化された形で扱われるのは言うまでもありませんが、患者保護の観点から、開始にあたって、ここで知りえた情報は他言しないという約束が取り交わされます。レジメは、患者情報や治療方針決定のプロセス、治療内容、治療経過などの概要で構成されますが、詳細に書かれたものは、発表後に回収されます。

 発表時間は1症例15~20分程度で、その後に20~30分の検討会が行われます。長い症例は、2回に分けて発表されることもあります。発表者は、原則、持ち回りですが、発表を希望しなければ聴講して論議に加わるだけの参加も認められています。

2.症例検討会の内容

 これまでに症例検討会で発表されたものの概要を3つ紹介します。
 

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