週刊あはきワールド 2017年1月25日号 No.507

【新連載】治療家のための薬の基礎知識 第1回

プロローグ

~薬学はすべての人が学ぶべき学問~

千葉大学医学院和漢診療学非常勤講師 和光治療院・漢方薬局 平地治美 


 
 ご縁があって本連載を担当させていただくことになりました平地治美と申します。少しでもみなさんのお役に立てるようなものを書きたいと思います。まだ他の先生が詳しくは書いていない、しかし鍼灸師のみならず全ての人に必要な「薬」について書いていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 連載を始めるにあたって、簡単に自己紹介をさせていただきます。

 私は薬科大学を卒業して薬剤師になり、卒業後は漢方相談薬局、製薬会社勤務を経て鍼灸学校の夜間部に入学しました。鍼灸学校卒業後は石原克己先生の鍼灸院で研修をさせていただき、その後、母が経営する実家の鍼灸院に戻り鍼灸臨床を開始しました。数年後に鍼灸院と同じ敷地内に漢方薬局を開局し、現在に至ります。

 薬剤師と鍼灸師の「合いの子」なので、それぞれの視点から話題を展開していきたいと思います。

私の薬学部時代

 自分の意思で受験して薬学部に入学したものの、1カ月足らずで勉強がいやになってしまいました。大学の授業を理解できず、全く面白いと思えなかったからです。大学の先生方のせいにするわけではないのですが、今振り返ってみると難しい内容をより難しい説明でしていたように思います。興味の持てない話を聞いていると眠くなり、授業は睡眠学習の場となってしまいました。

 私の学習態度にも問題がありましたが、もっと理解しやすく、日常の事柄に結びつけて説明してくれれば楽しく学べたのにと思います。

 そんな私の失敗経験を踏まえ、本連載では専門用語は使わず、誰でも理解できる表現をしていきたいと思います。また、症例や古典の内容も複合していきたいと思います。

薬学はすべての人が学ぶべき学問

 在学中は全く面白いと思えなかった薬学ですが、面白くなってきたのは臨床の現場である薬局に就職してからでした。患者さんの症状を聞き、病理や薬を勉強し直し、結果を確認する、という臨床と座学をセットで学ぶととても面白く感じられました。

 当然、自分の生活にも役立ちます。特に養生を含む「漢方」を学び実践した結果、大学時代よりも元気になり、現在に至るまで健康診断と研修以外で病院に行ったことはありません。

 「食育」が注目されるようになった昨今ですが、小学生あたりから薬についても「薬育」をすべきではないかと思うのです。

 なぜかと言うと、薬や健康の情報が氾濫する中、私達は危険なものや怪しいものから身を守らなくてはなりません。基礎的な知識があれば身近なものや食材である程度の症状に対応することができます。

 また、正しい知識があれば怪しげなサプリメントに高額を注ぎ込むこともないですし、覚醒剤などの危険な薬に手を出すこともなくなります。

薬で病気は治せない

 腰痛で鍼灸治療を受けに来院した患者さんのお話です。

 「一年近く前から腰痛があり、病院に行きました。出された薬を一所懸命飲んでいたけれど、どんどん悪くなってきて友達に話をしたら「痛み止めは痛みを抑えるだけであって、治すものではないんだよ、そういう症状には鍼がいいよ。私が行ってる鍼灸院を教えてあげる」と教えられてここに来ました。私は病院は病気を治してくれるところで、薬をきちんと飲みさえすれば病気が治ると思っていたのです。それで担当医の先生に質問したら「薬局でもらう薬剤情報提供書に書いてあるでしょ、読んでないんですか!」と怒られました。もうショックで落ち込みました」

と、打ちひしがれた様子です。

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