週刊あはきワールド 2017年2月1日号 No.508

鍼灸学生の研修奮闘物語 File.8

Student.SeのBSL(Bed Side Learning )Diary(8)

~「日本中医学会熊本支援プロジェクト」東洋医学編その5~

鍼灸学生3年 平岡遼 


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 去年3月に研修生としてBSLに入らせていただくようになった私が、その翌月に発生した熊本地震の医療支援に同行させていただいた中で最初に出会ったNさんは、鍼灸学校の臨床実習では想像だにしないような医療的に重篤な病態が隠された患者さんでした。臨床現場では一人の患者さんだけからでも山のように学べることがあります。指導してくださる先生と振り返りの時間をつくって指摘いただくことで、自分では1しか学び取れなかった裏側に実は4も5も学びが隠されていたことに気づきます。長くなりました熊本支援プロジェクト編も今回の6回(西洋医学編1回+東洋医学編5回)で終わりになります。本当の臨床での学びを読者の学生の皆さんにも追体験していただけたらと思います。

 症例提示は、今回は趣向を変えて、箇条書きにして提示してみました。

座談会メンバー

ともともクリニック院長 木村朗子
TOMOTOMO(友と共に学ぶ東西両医学研修の会)代表 石川家明

症例提示)74歳 男性 大工
【主訴:咳嗽】
・震災時(3~4カ月前)にカゼをひき、その後咳嗽が続いている。
 喀痰あり、白色。
・7月の時点で食欲が落ち、体重減少がある。
・自宅の解体作業中に雨に降られてから咳が増悪。夜中、咳で目覚める。
・時折笑みは見せるが、声は弱く小さい。

【身体所見】
脈診:右弦滑、左渋 舌診:舌大、黄膩苔、舌下静脈怒張
BT37.6℃、BP118/64mmHg、HR78/分、SpO2 95%、RR40/分

■学生参加の身で、ガッツーン!

石川今回で熊本編は最後になるから久しぶりに振り返ってみましょう。学生で災害地のボランティアに参加はしてみたところ、最初の患者さんから重篤疾患でした。驚いた?

平岡いやぁ~、まさかボランティアの最初の患者さんから生き死にかかわる疾患に出合うとは思ってもみませんでした。これからの鍼灸師人生に影響を与えるショックな洗礼でした。

石川鍼灸は医療で人の生死に直接かかわる仕事なんだよ、というまさに洗礼で、治療の神さまの祝福です。ところで、このたった一つの症例から、あなたが学んだことをまとめることが大事なんだけど。このファーストコンタクトのショックからは何を感じましたか?

平岡重篤な病態にあることに気づけるかどうかがまずとても重要で、身につけていかなければならない能力だと感じました。ともともグループのモットーである「西洋医学は人を不幸にしないために学ぶ、東洋医学は人を幸福にするために学ぶ」ということを、言葉に沿って学んだかのようです。

石川あやうく「人を不幸に」してしまうところだったと認識しましたか?

平岡ええ、一人で診ていたらと思うと、たぶん鍼治療してそのまま帰しただけだと思います。そもそも重篤だと判断できなかったのが、一番の大きな反省です。石川先生が「鍼灸院に来ないと思っているだけで、多くは見逃しているんだよ」とよくおっしゃっているのを実体験できました。

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