週刊あはきワールド 2017年2月15日号 No.510

全力で治す東西両医療 第12回

ともともクリニック全力カンファレンス中継(1)

~感冒だと思っていたら「あれ?」が隠されていた症例~

 (1)木村朗子(2)荒川和子(3)石川家明 


◎第11回 熊本災害支援鍼灸治療に参加して
      ~医師・医大生の感想と、現場でのドクターT~
      (横田啓・小沢一世・助川礼・石川家明)
◎第10回 バイタルサイン簡単症例集(4)
      ~総集編~(荒川和子)
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(1)木村朗子:ともともクリニック院長
(2)荒川和子:山田整形外科・胃腸科・肛門科
(3)石川家明:TOMOTOMO(友と共に学ぶ東西両医療研修の会)代表

 ともともクリニックには毎日様々な患者さんがいらっしゃいます。そこに様々な質問が生まれ、議論がそここことなく湧き起こります。レベルも分野も様々ですが、それらが自然と生まれる雰囲気が大切だと思っています。それらのいくつかはその日のうちにカンファレンスが開催されます。今回は実際に行われた議論のなかからいくつかご紹介いたします。

 感冒やインフルエンザが大流行です。クリニックにはもちろんたくさんの患者さんがいらっしゃいますが、実は老舗の鍼灸院にも感冒患者さんはたくさんいらっしゃいます。昔から、この業界は「カゼの患者が来たら一人前」という言葉がありました。本来プライマリケアの観点から見れば、鍼灸はプライマリケアの第一線に位置づけられるので納得できる言葉です。何年、何十年と地域に根を下ろした鍼灸院が地域住民から受け入れられると、自然に感冒でも腹痛でも頭痛でも、日常具合が悪くなれば、まずはおなじみの鍼灸院に自ずと相談に来ることでしょう。

 インフルエンザや感冒の要点を押さえて対応しながらも、今回のような患者さんもいらっしゃいますので、プロとしての目利きが必要となってきます。今回はクリニックに来た患者さんの実際のカンファレンスを生中継で提示しますので、一緒に学んでいきましょう。

■感冒だと思ったら…

荒川先日、ともともクリニックでお会いした症例について、質問がいくつかあるのですが。患者さんは新患で来院されたUさん(67歳女性)です。5日前からカゼを引いたということで受診され、私が最初の問診を取らせていただきました。

石川TOMOTOMOの研修システムは、自分が担当する患者以外でも、できるだけ多くの患者さんに接してもらうために、新患さんの予診をしたり、自分たちの判断でバイタルサインを積極的に測定してもらったりしています。このシステムも開業5年でだいたい定着してきました。

木村数分から長くても10分ぐらいでしょうか。お話の聞き方や聞き取る内容、メモの記載の方法まで、その医療者によって非常に個性が出ますね。荒川さんは素早く的確に情報を持ってくることが多いと感じています。

荒川ひー、冷や汗かきますが、がんばります( ;∀;)それでは、Uさんの経過です。

 5日前、鼻水、咳嗽が出現。体温37℃台。
 3日前、鼻水、寒け、軟便。
 2日前、咽頭痛、体温38℃台。解熱剤服用開始。
 来院前日、体温38.8℃。
 来院当日、後鼻漏、鼻水、嘔吐1回、体温38.0℃。

 既往歴は1998年に糖尿病、2016年6月に乳がんの診断を受けています。旦那さんと一緒に来院されていましたが、足取りはしっかりとされていました。

木村荒川さん、general appearanceも意識できていましたね。とても大切ですね。

荒川食事は摂れていて、会話中に笑顔を見せるなど元気な印象を受けたくらいです。2日前から解熱剤を服用しているにもかかわらず高熱が続いていることが気にかかりました。普通感冒にしては高熱だな…もしインフルエンザだとして、インフルエンザワクチンの接種を受けているわりに発熱が続いている…上気道症状が揃っているからウイルス性っぽいけど発熱が続く説明がしにくい…などと考えながら、問診はそこで終えてしまいました。

木村Uさんは1月に来院された方でしたね。既往歴も忘れずに聞けていますし、現病歴もonsetから順序立てて聞けていますね。インフルエンザワクチンは患者さんがおっしゃったのでしょうか。この時期の発熱患者さんを診たら、ワクチン接種歴、周囲にインフルエンザらしい人はいたか、はとても大切な情報です。

荒川インフルエンザについての情報はclosed questionで聞き出すことができました。ワクチン摂取歴はあり、周囲にインフルエンザらしい人はいらっしゃいませんでした。

石川初心者読者は荒川さんがなぜ「あれ?」と疑問に思ったかが分かりにくいかもしれませんね。もうベテランに達した荒川さんぐらいならば、病の自然史との違いにまず気がつきます。「〇〇病にしては、治りが遅いぞ」とか「〇〇病にしては、こんな症状が出てこないぞ(あるいは出てくるぞ)」とかです。また「薬を使っているから〇〇のはずなのに・・・」もとっても大事です。

■「あれ??」から紐解く

荒川木村先生に申し送りをした後、先生がUさんに対して最初に質問されていたのは、乳がんの治療についてでした。

木村診察の様子を見てくれていたのですね。意外でしたか? 実はこの方、最後に抗がん剤治療を行ったのは来院から8日前だったのです。

荒川なぜ、最初に乳がんについてお聞きになったのですか? 感冒のことを聞いてからでもよかったのかもしれないと思いまして。

木村最初に顔を見た時に、気がついてしまったからです。まあこの後の話で出てくるので、それはのちほど種明かししましょうね。
 

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