週刊あはきワールド 2017年3月15日号 No.514

在宅ケア奮闘記 その123

認知症は怖い!

~認知症患者の在宅介護を考える~

訪問リハビリ研究センター代表 西村久代 


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 Fさん(72歳、男性)は2年ほど前から下肢の筋力低下が急に進み、転倒を繰り返すようになった。介護保険を利用してデイサービスに行くようになり、訪問マッサージも併用で行うことになった。

 短期記憶障害がある認知症で、軽い薬を服用している。「ごはんを食べさせてもらえない」と悲しい顔をしたかと思うと、お花を見てニコニコし出す、陽気で笑顔が可愛い無邪気なお爺さん。少しプーさんに似ている。体格もプーさん似だ。

 デイサービスに週2回。訪問マッサージも週2回。足が動かないことが不安材料。血行不良もあり、筋力低下が進んでいた。

認知症は怖い!

 Fさんは急に怒り出すようになった。訳の分からないことを言い始め、「殴ったろか」と言いながらとても怖い顔で握り拳を振り上げるときがあった。

 「あんた誰や」と言うときもある。奥さんのことを「怖いヘルパーが居てる」と言ったり、急に泣き始めて「家に帰りたい」と言ったりし出した。

 奥さんがトイレに連れて行こうとして、足が踏ん張れずに布団から立つことができなくなった。今までトイレを失敗しなかったのが急に失敗するようになった。様子がハッキリとおかしいとわかる。

 奥さんはかかりつけの近くのクリニックの主治医には内緒で総合病院を受診させた。Fさんは「正常圧水頭症」と診断された。担当した医師から「手遅れだ。手術する方法もあるがどうしますか。手術しないのなら治療する方法がないので帰ってくれ」と言われて連れて帰ってきた。

移動や車椅子への移乗、着替えやおむつ交換がうまくできない

 家に連れて帰ってきても、布団から起き上がることができなくなっている。おむつをしようとしても抵抗して替えさせることができない。着替えも入浴もできなくなって清潔保持ができなくなっていく。大きな声で怒鳴る。奥さんは急速に介護疲れで疲弊していく。

 息子さんやケアマネジャーの提案で、まず電動ベッドを入れた。室内では車椅子で移動をさせる。できるだけデイサービスを利用して入浴もデイサービスで行い清潔を保持する。奥さんの介護時間をできるだけ短縮させる。そして、ショートステイを利用し、施設入所も視野に入れることにした。

 しかし、デイサービスが迎えに来ても、玄関までは家族が連れて行かなければならない。奥さんが朝起こして、おむつ交換をして、着替えをさせて、車椅子に移乗させて、朝食を食べさせ、玄関まで連れ出す。

 奥さんは体が小さく、Fさんの体位変換もできない。ヘルパーさんに入ってもらい、移乗などを手伝ってもらい、デイサービスに引き渡したいが、ヘルパーさんがいても時間がかかって思うようにいかない。

 そこで、緊急トランスファーテクニックセミナーを開催することにした。

トランスファーテクニックを習得して、介護が楽に!

 トランスファーテクニックは簡単な理論。頭の位置と足の方向、どこに体重をかけるか、掌の向きによって体重移動が簡単にできる実験などをして、まずはヘルパーが体験して学習し、実地に研修をしてもらう。

 足の位置を固定して掌の向きを考えてトランスファーを行えば、あっさり体位変換もできるようになった。おむつ交換も着替えも車椅子への移乗もできるようになった。

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