週刊あはきワールド 2017年3月15日号 No.514

カラダの欲求と操体の私的解釈 第16回

橋本敬三が残した課題(11)

~操体式心理療法を模索する その2~

 大隈博英 


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操体の思想に近いPOP

 さて、次に、動作法とは違って、思想も手法も比較的、操体法に近い、POPを取り上げてみる。POPについては、連載の開始当時に紹介したので、ここは、簡易的に説明するが、要は創始者のアーノルドミンデルは、タオイズムに傾倒しているせいもあって、西洋人にしては珍しく、性善説に立っていることにある。

 特に彼はユング派の心理療法家ということもあって、患者の無意識の動き、癖などに着目する。もっとも、POPも相当、幅の広い方法(昏睡状態の人にする手法などもある)なので、ここは、あくまで、基礎的な手法について、論じることにするので、ご容赦願いたい。ミンデルは患者と面接開始から20秒以内にする、無意識の動作に着目するという。そこには、患者の心理的な何かが現れており、そして、それは何かを解決したい、プロセスが垣間見られる状況だと判断する。

 あくまで、プロセスであるから、そのプロセスが目的を達成するまで、完遂する補助をすることが、タオイズムでいう、道に従うということであるとミンデルは考えたようである。

 有名な症例に、末期ガン患者の少女の話がある。M.D.(担当医)の許可を得て、心理療法を試みるという機会を得たミンデルは、少女が手を羽ばたくような動作をしているのに気づく。

 ミンデルは対話を通じて、彼女の欲求を知る。なんと、天使のように羽を生やし、飛んでいきたいというのだ。ミンデルはとっさに、「そんなことをしたら、このまま、少女は天国に逝ってしまうのではないか」と危惧したが、彼はプロセスを信じてみようと思い、少女と一緒に、羽ばたく振舞をした。

結果…ガンは消失してしまうのである。

 これは、まさに操体である。もちろん、いつでも、このようにうまくいくわけではないだろう。しかし、万に一つの奇跡ではないらしい。というのも、実は私自身の臨床経験(?)でも、同じような治験例を持っているからだ。
 

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