週刊あはきワールド 2017年3月22・29日合併号 No.515

治療家のための薬の基礎知識 第3回

薬の有効域と安全性

千葉大学医学院和漢診療学非常勤講師 和光治療院・漢方薬局  平地治美 


●薬と瞑眩(めんけん)

 「薬瞑眩せざればその効を得ず」

 これは江戸時代の漢方医・吉益東洞の言葉です。瞑眩とは激しい副作用のことで、吐いたり下痢したり、場合によっては意識不明になるような状態のことを指します。

 東洞が診ていた患者には当時は死に至る病であった梅毒の患者が多く、東洞はその治療に水銀などの毒性の強い薬を用いました。抗菌薬のなかった当時、梅毒は死に至る病であり、それまでの漢方医学だけでは対応できませんでした。

 東洞は「毒を以て毒を制する」思い切った治療方法を選択して、その結果、患者が亡くなるのならばそれは「天命」という考え方をしました。この「天命説」は江戸の一大論争になったそうですが、何もせずに死を待つのならば東洞の方針に従ってみよう、という患者も多かったようです。

●薬の有効域

 薬の有効域とは、薬の血中濃度がある一定の範囲内になり治療に有効になる濃度の範囲のことを言います。有効域に届かないと無効、有効域の上限を超えると危険域(中毒域)になります(図1)。
 

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