週刊あはきワールド 2017年3月22・29日合併号 No.515

鍼灸学生の研修奮闘物語 File.10(最終回)

Student.SeのBSL(Bed Side Learning )Diary(10)

~これから鍼灸師になるにあたって~

鍼灸学生3年 平岡遼 


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 去る3月17日、無事に卒業式を迎えることができました。クラスメートと同じ机を囲むことはもうなくなるのだと思うと寂しさを感じるとともに時の流れの速さに驚かされます。これからは鍼灸学生ではなく研修鍼灸師もとい鍼灸レジデント(!?)として研鑽を積んでいきたいと思います。英語でレジデント residentというと「居住者」とか「滞在客」といった意味ですが、日本でいうところの卒後の研修医から独り立ちするまでの期間にある医師のことをレジデントと呼ぶそうです。これは、修行中の医師はほとんど病院に泊まり込みになることからそう呼ばれるようになったんだとか。私も泊まり込んで前のめりで学んでいこうという気概を込めて「鍼灸レジデント」とした次第であります。

 さて、鍼灸学生の身分もあと数日となりましたが、Student.Seの最後のテーマは「鍼灸学生の卒後研修制度を考える」です。この3月から、こちらの連載の中でも長くご指導いただいていた石川先生と木村先生の下で研修しながら働かせていただけることになったため、自分をどうやって研修していくか、ひいては鍼灸師をどう卒後研修していけばいいのか、という話をしていこうと思います。


図:4月からのTOMOTOMO研修1年目のスケジュール(拡大図















■他の医療職種の卒後研修

 さて、鍼灸師の卒後研修制度ですが、実は2学年の頭くらいからおぼろげに考えていたトピックでした。鍼灸師が医療者として必要な知識や技能を習得するにあたり3年という期間と専門学校の教育内容が十分なのか、という疑問は常に感じていました。百年余り前までは全科の疾患に対応していた鍼灸医療に対する教育期間が3年しかないというのはあまりに少なすぎるように思います。

 他の医療職種に視野を広げてみると、医師は6年制の大学を卒業したあと、さらに2年間の初期研修期間、専門科によって異なりますが3〜5年前後の後期研修期間を経て、やっと専門医になることができます。入学から換算すると約10年がかりです。それだけ西洋医学の学ぶべき範囲が広いということでしょう。一方、中国では中医師は西洋医師と同等の権限があり、やはり6年制の大学を出る必要があり、専門医になるには卒後10年ほどかかるそうです。看護師では2010年4月から卒後研修制度が努力義務化され、新人看護職員研修ガイドラインに沿った病院ごとの教育プログラムが用意されています。理学療法士や作業療法士では研修制度などの卒後教育プログラムはないそうですが、先輩が後輩を教えるといった病院で責任を持って教育する仕組みがあるようです。

 そんななか鍼灸師だけが、3年間の教育だけでたったひとり大海原に放り出され、フォローしてくれる医療機関も多くはなく、ほとんどは同じ境遇の鍼灸師が働く治療院に入るか独立開業するか、という選択になります。医師のいる整形外科クリニックにしても「スイッチャー(ボタン押し)にされるところは選ぶなよ」と揶揄されるように必ずしも良い環境ではないことも少なくないようです。もちろんそれらの中にも良い治療院や良い病院、良いメンターが存在するであろうことは自明の理ですが、問題は大多数がちゃんとした卒後教育を受けられないという教育環境にあると思います。

■鍼灸師の質の保証

 この問題は、鍼灸師の質を保証できないことに繋がります。そして至るところでこの問題による弊害が起きているように感じます。3つ例を挙げてみたいと思います。

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