週刊あはきワールド 2017年4月5日号 No.516

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.36-1

腰痛とメニエール病と顔面神経麻痺のそれぞれを主訴とする3名の患者の治療(その1)

~積聚治療の理論とその治療方法 外傷の影響について~

東京衛生学園専門学校専任教員・積聚会講師 高橋大希 


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 鍼灸師になって20年近く経過しようとしています。しかし、鍼灸師3年目から鍼灸専門学校の専任教員をしている私の1週間の仕事は、授業を中心とした学生さんとの関わりといった「学校の先生」としての仕事のほうが多い。授業の後や休みの日に臨床を行っているのは、鍼灸師=治療家という潜在的な理念とも言えるが、単に私が鍼灸大好きとも言える。学校で仕事をしていると多くの外来講師の先生方とお会いする機会に恵まれ刺激を受ける。よって興味は流派、手段を問わず伝統的な手段から西洋医学的な手段まで幅広い。

 そんな私の臨床の手段は、鍼灸学校の学生時代から学んでいる積聚治療である。小林詔司によって提唱された積聚治療は、もともと鍼灸学校の実技教育のために生まれた鍼灸治療法である。授業のために生まれたとは、学生でも習得しやすい治療技術と、理解しやすい理論があるということが言える。それはお互いに実習ができることを意味し、また卒後は習ったことで治療ができるようになることである。

 具体的には、鍼は毫鍼や鍉鍼による接触から三稜鍼による刺入(刺絡)まで、灸は透熱灸(有痕灸)から知熱灸(無痕灸)、時には灸頭鍼、そして理論には鍼灸という医の体系も多分に影響を受けた「易」の考えが用いられています。

腰痛とメニエール病と顔面神経麻痺のそれぞれを主訴とする
3名の患者の治療

 さて、盛りだくさんなタイトルをつけてしまった。「腰痛とメニエール病と顔面神経麻痺のそれぞれを主訴とする3名の患者の治療」だが、主訴が全く異なる3名の患者さんに対して同様の治療を施し改善が見られたことの報告である。このようなことは「異病同治」という言葉で表現され、鍼灸師ならば誰もが耳にすると思うのだが、この報告では「主訴(症状)」が異なるが、同じ「治療」と同じ「病因」であったことに注目していただきたい。つまり「異病同治同因」と言ってもいいだろう。よって腰痛の積聚治療でも、メニエール病の積聚治療でも、顔面神経麻痺の積聚治療でもなく、そこの共通している病の原因、つまり病因に対する積聚治療の考え方、なぜ腰痛になったのか、メニエール病になったのか、顔面神経麻痺になったのかいう積聚治療の考え方に注目していただきたいと思います。

積聚治療の理論

 初めに、積聚治療では病の原因を「精気の虚」とか「冷え」と表現しています。小林詔司の著書にもこれらの表現が使われていますが、「精気」「冷え」と言った単語の定義が人によって違うことによる誤解をよく受けます。そこでここでは病の原因は「生命力の低下」という言葉で統一して話を進めていきたいと思います。

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