週刊あはきワールド 2017年7月5日号 No.528

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.39-1

肝病はこう治す!(その1)

~気滞病理学説について~

(一社)北辰会学術副部長 竹下有 


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 私の鍼灸治療法は、(一社)北辰会が提唱する、北辰会方式である。北辰会方式の概略については、以前弊会の奥村氏が示したとおりである〔File.22-1 痹病はこう治す!(その1)~北辰会方式による鍼灸治療法~(奥村裕一)〕参照。

 (一社)北辰会では、緻密な四診合参による弁証論治を流儀としている。また、日中韓の歴代医家の言説、経験に広く学びつつ、日々の鍼灸臨床から、現代のあらゆる病、とりわけ難病を治療していく上では、東洋医学のいう五臓六腑における「肝の臓」の異常を調整することが大変重要であると認識している。

Ⅰ 肝の臓の臓象

 『臓腑経絡学』(アルテミシア刊)P251に、東洋医学の言う「肝の臓」とは、『素問 霊蘭秘典論(8)』の中で「将軍之官」と記載され、蔵血、疏泄を主な機能とし、魂を蔵し、精神面も含め、外的環境の変化に対して上手く順応する際の要となり、身体部位では目や爪や筋と深く関わり、経絡経筋を通じて生殖器とも深く関わる、などと考えられている。

Ⅱ 肝の臓の証候

 『中医弁証学』(東洋学術出版社刊)の「第5章 臓腑弁証 第1節 肝胆病の証候」に掲載されている肝の臓の証候(病態)としては以下の通りである。

1.肝気鬱結証
2.肝火上炎証
3.肝陰虚証
4.肝陽上亢証
5.肝風内動証
6.肝血虚証
7.肝不蔵血証
8.寒凝肝脈証
9.肝着証
10.肝有欝熱証
11.肝経湿熱証
12.肝胆欝熱証
(このほかに胆の証候として胆鬱痰擾証が紹介されている)

そして、上記の臨床鑑別として、

1.肝鬱、肝火、肝陽
2.肝陰不足、肝腎陰虚、肝陽上亢
3.肝陽化風、熱極生風、陰虚動風、血虚生風

の鑑別法が紹介されている。

 また、『中医病因病機学』(東洋学術出版社刊)の「第3篇 病機 第13章 臓腑病機 第4節 肝胆病機」の項で紹介されている肝の臓の病機(病のメカニズム)の分類は以下の通りである。

1.肝気不疏
2.肝気横逆
3.肝火上炎
4.肝血虧損
5.肝陰不足
6.肝陽上亢
7.肝風内動
8.肝経寒滞
9.肝脈瘀阻
10.肝胆湿熱
(このほかに胆の病機として胆気欝阻、胆気虚寒、胆胃不和が紹介されている)

 また、同書の同章、「第6節 二臓同病病機」では

1.肝腎陰虚
2.肝肺同病
3.肝脾不調
4.肝脾血虚

が紹介されている。

 上記内容から、東洋医学のいう「肝の臓の病」と一口に言っても、現代中医学では、実にさまざまな証候(東洋医学的病態)や病機(病のメカニズム)、が纏められ、分類されていることが分かる。

 後述するが、北辰会方式では、上記の分類よりもさらに詳細に分析、分類を加えて、「肝の臓」の治療に当たっている。

 北辰会方式では初診時に、1時間以上かけた詳細な問診と、緻密な体表観察から得た患者情報を分析し(四診合参)、病因病理と証を踏まえて、少数鍼にて治療、養生指導を行っている。

 中医学の理論や方法論と比較して、診察が緻密であること、証よりもむしろ病因病機を重視して治療に当たっていることなどが北辰会方式の特長である。

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