週刊あはきワールド 2017年7月12日号 No.529

新米鍼灸師の研修奮闘物語 File.2

Resident.SeのBSL(Bed Side Learning) Diary(2)

~レジデント生活の紹介~

鍼灸レジデント1年目 平岡遼 


 
 鍼灸師になって4カ月が経ち、レジデント生活も“いつもの日常”になってきました。私が棲み着いているせいか、最近ではともともクリニックの3Fが「フラットヒルズ301」(“平ら”な“岡”)と呼ばれるようになってしまいました(笑)。私は幸運にもクリニックで研修させていただける環境に身を置くことができましたが、多くの鍼灸師は卒後にちゃんと教育を受けられずにいる現状があります。そもそも鍼灸学校でちゃんとした教育を受けられない中で、卒後教育もないのでは鍼灸師の現状も致し方ないと思うのは私だけでしょうか。今回は、私が研修生として学ぶ日々の中から、鍼灸学生や新米鍼灸師が何をどう学んでいけばいいんだろうということについて考えていきたいと思います。


図1:鍼灸レジデントの一月(拡大図














■レジデント生活の一日

 前回シリーズ(Student.Se)の最後にお出しした毎月の予定が図1です。4月以降、おおむねこのスケジュールに沿って日々の診療を行いながら勉強会を開催しています。一日の大体の流れが図2になります。朝は8時から開院の準備を始め、9時から12時が午前診療の時間です。患者さんがいなくなると会計処理や薬の準備など、事務の締め作業を行います。午後診療の受付を開ける14:30までの時間は、訪問診療があればその準備と手伝いを、なければ午前の患者さんのカルテを書いたり、その中で湧いた疑問を調べたり、スタッフ同士で練習をしたりしています。19時の午後診療のあとは一日の事務処理の締めをして、勉強会の準備ができ次第その日の勉強会を始めます。


図2:鍼灸レジデントの一日(拡大図







■人に教えることで自分が一番学べる!

 日々の勉強会の講師は、先生ではなくスタッフが行うものがほとんどです。これは講義を受けるよりも人に教える方が学習効果が高いからです。「ラーニングピラミッド」という学習定着率の高さについて研究した結果によると、講義を受けるよりも映像を視聴する方が、映像を視聴するよりも議論する方が、議論するよりも教える方が定着率が高いそうです。インターネットで調べると定着率が数字で書かれている図も多いのですが、根拠がないなど議論もあるようです。しかし、数字はどうあれ内容は経験的にすっと納得できるものではないでしょうか。鍼灸学校ではどうでしょう。講義を受ける以上の学習方法をしていることはとても少ないように思います。学生同士が議論をしたり、学生が講師役をしたりする授業を行っている学校はほとんどないのではないでしょうか。議論や講師をすること自体を学生側が尻込みしてしまっている印象もありましたが、これは学生の問題よりも学習環境をどうセッティングするかというところに問題があるような気がします。

■どうやって勉強会を進めるか

 勉強会に話を戻します。勉強会は図1に示す通り、弁証、舌脈診といった東洋医学のものから運動療法、リハビリ、画像診断、検査値といった西洋医学にわたる、幅広くかつ実戦的なトピックをテーマにしています。勉強会参加者は、役目としては「講師」と「聴講者」に分かれはしますが、講師役が完璧な講義をすることが目的ではなく、講師役はテーマに沿って複数の参考書や文献を参照した内容を自分なりにまとめて伝えることで自分の頭を整理し、聴講者役の調べる時間を節約します。聴講者役は、患者の臨床での疑問を投げかけたり、臨床経験で得たものを共有したりすることで全員の学びのスピードをアップします。座学で学んだものを臨床経験と結びつけることで点と点でバラバラだった知識がつながり、複雑に思えていたことがすっと腑に落ちることがあります。
 

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