週刊あはきワールド 2017年7月19日号 No.530

【新連載】『霊枢』 を読もう! 第1回

『霊枢』日本語訳について

欅鍼灸院 名越礼子 


 鍼灸のバイブルだからこそ、もっと『霊枢』を読んでもらいたいとの思いから、今号から『霊枢』の現代語訳を連載します。本連載は、このほど上梓された『ナラティブ霊枢 明解な現代語訳で鍼灸の原典を読み解く』(名越礼子訳)から転載したものです。なお、本には数カ所「解説」や「付記」が収載されていますが、本連載では割愛させていただきます。興味のある方は本をご参照ください。
 
 『霊枢』は、今日中国に現存する最も早い時期の医学書の1つであり、中国の古代経典である『黄帝内経』の組成部分です。1973年に湖南省長沙市の馬王堆漢墓から発掘された若干の医書がその前時代の空白をいくらか埋めているとはいうものの、『霊枢』は、中国古代医学の理論的基礎について、多岐にわたって記述されているという点では、中国古典医学の経典というにふさわしいものです。

 成立年代は、中国では春秋戦国時代ともいわれますが、それは、『呂氏春秋』や『淮南子』などに古代医学や古代天文学に関する記述があることから、確かにこの時代に一部は存在していたと考えてもおかしくはないのです。しかしその後増補されて、漢代ごろに今日のような体裁になったものと考えられています。

 『霊枢』は、『霊枢』のほかに、『黄帝内経霊枢経』、『鍼経』、『九巻』あるいは『九霊』、『久虚』などの名称で『傷寒論』や『甲乙経』などに書かれていたため、随、唐時代には、さまざまな異なる伝本が現れました。現存するものは、南宋時代に史崧(しすう)が新しく編纂したもので、このとき題名を『霊枢経』として、12巻81篇にまとめたのです。これに明代の馬蒔(ばし)らが注釈をつけ、今日の体裁になったといわれています。その後、清代には張志聡らが注釈を付けるなど、多くの医学者によって校勘が行われ今日に至っています。
 

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