週刊あはきワールド 2017年8月16日号 No.534

新米鍼灸師の研修奮闘物語 File.4

Resident.SeのBSL(Bed Side Learning) Diary(4)

~電脳に負けない、人間ならではの推論~

鍼灸レジデント1年目 平岡遼 


 
 この春学校を卒業して鍼灸師として働くようになり、受け持った最初の腰痛患者さんは内臓由来の腰痛でした。それもたった2回の治療をしただけで、次回予約のキャンセルの電話が入ってしまいました。トホホホ…。そりゃ、そうだ。患者さんからみたら見当違いの言動や、不安げな診療が見透かされていたかもしれません。「最初から、尿路結石の腰痛なんか来るな。普通の腰痛が来てほしい!」

 ところが、ともともゼミにはやはり臨床の神様が住んでいらしているようでした。前回の原稿を書き上げて、『あはきワールド』に送った次の日に、親指を右帯脈穴にしっかり当てた患者さんが苦痛に顔をゆがめて私の前に立っていたのです。ああ神様。

【座談会参加者】
萱間洋平(日本鍼灸理療専門学校専任教員)
木村朗子(ともともクリニック院長)
石川家明(友と共に学ぶ東西両医学研修会主宰)

症例)48歳男性 腹痛

■驚いた! 翌日典型例がやって来た

平岡 尿路結石の方があらわれて、びっくりしました。

石川まさか、次の日に本当に来るとはね。出来すぎでウソ原稿書いていると読者に思われたりして。

萱間いやー、そんなことは思わないでしょう。臨場感があって良い記事だと僕の周りでは評判です。

石川もう大分前の事ですが、僕が書いた原稿にウソだろうといちゃもんがついた時がありましたよ。(笑)卒業したての鍼灸師はそんな発言ができないってクレームがついた。平岡くんではなく、先輩の時でしたけど。

萱間へえ~、そんなこともあったのですか。

木村その話はゼミで話題になりましたね。医療現場の実態を体験していないからでしょうね。

萱間鍼灸教育が医療の実態と解離していてはいけないのですが、いろいろ問題は山積しています。

平岡私も学生の時に石川鍼灸院で実習させていただいて、本当にいろいろな患者さんが来ているなと実感しました。それまでは、現実を想像すらできませんでした。その中では、医療的ばかりではなく、社会的にも大変深刻なケースが多くって、この世界が初めてならば、ちょっと悩みますね。

石川まじめな治療者であればあるほど、初めて医療の現場に身を置けば、当然いろいろ考え込んでしまいます。

木村それが医療というものだと思います。何も心に響かなければ、それでは医療者としては失格なのですが、感性の問題ですけどね。

石川同じ医療なのに、鍼灸の世界ではリアリティショックの話を聞かないのですね。新人が病院で働くと、まじめで感受性の強いほど、現実に圧倒されてかなりの衝撃を受けます。特に医療におけるそれは医師や看護師が職を辞めたり、自殺したりするので、上司が見守らなくてはいけないことの一つです。

萱間そう言えば、鍼灸の世界ではリアリティショックの話は聞きませんね。

石川よく考えると、これは鍼灸界にとって残念な現象なのです。

 さて、尿路結石の患者さんは最近増加しているようです。クリニックにはどの程度来院していますか?

木村尿路結石はクリニックでは年に数名はいらっしゃいますが、今回は次の日、平岡さんに「尿路結石の典型例と比べてみれば」と送られて来たかのようで驚きました。

石川生涯罹患率は男性1/7、女性1/15で、40年間で3倍になったようです。(尿路結石症診療ガイドライン 2013年版)

木村近年患者は増加しているようです。

萱間思ったより多いのですね。鍼灸院に来ないのではなく、見過ごしていることもありそうですね。

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